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通信事業者に新しいビジネスを、基地局とサーバを一体化するサービスをNSNが提案無線通信技術

ノキアソリューションズ&ネットワークス(NSN)は、プライベートイベントを東京で開催し、基地局の中にサーバを埋め込んでコンテンツ配信などに利用する仕組み「Liquid Applications」などを紹介した。通信事業者にとって、回線を提供する役割だけを担う“土管化”から脱却を図る機会になるかもしれない。

» 2013年11月08日 18時37分 公開
[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 ノキアソリューションズ&ネットワークス(NSN)は2013年10月30日に、東京都内でプライベートイベント「eXperience Day 2013」を開催し、同社の新しい技術「Liquid Applications」などについて説明した。

 Liquid Applicationsは、「基地局とサーバを一体化する」もので、2013年2月25〜28日までスペイン バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2013(MWC2013)」で初めて紹介された。具体的には、NSNが提供する基地局装置にサーバを挿し込む。

「eXperience Day 2013」で展示した、「Liquid Applications」向けの基地局装置。赤い枠で囲んだところがサーバになる(クリックで拡大)

 コンテンツプロバイダは、基地局装置に内蔵されているサーバに直接コンテンツをアップロードしておき、ユーザーはそこからコンテンツをダウンロードすることになる。ユーザーにとっては、サーバとの距離がより近くなるので、ダウンロード時間が短くなる、応答速度が速くなるといったメリットがある。

 さらに、交通情報や天気情報、商業施設やイベントの情報など、基地局周辺に特化したピンポイントの情報を素早く得られるようになることも特徴だ。「基地局でデータを取捨選択したり圧縮したりすることもできるようになる」(NSN)。

Liquid Applicationsのデモ。タブレット端末を使って観光地の情報を得るというもの。タブレット端末のカメラで景色を写すと、あらかじめ基地局のサーバにアップされている関連情報のコンテンツをダウンロードできるようになっている。右は、ダウンロードしている最中に流れているデータトラフィックの量を示している(水色の部分)。Liquid Applicationsを使った左のグラフの方が、水色の部分が格段に多く、トラフィックがスムーズに流れている様子が分かる(クリックで拡大)。

 NSNは、「基地局装置内のサーバをコンテンツプロバイダに提供することで、通信事業者が収益を得る仕組みができる。基地局を高機能化させるLiquid Applicationsは、通信事業者にとって、単に回線を提供するだけの“土管化”を防止する手段になるのではないか」と述べている。

 Liquid Applicationsの実証実験は、既に始まっている。NSNと韓国の通信事業者SK Telecomは、SK Telecomの実験室にLiquid Applicationsを導入し、2013年6月から3カ月にわたり実証実験を行った。韓国の他に、イタリアの事業者などからも引き合いがあるという。

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