ノキアソリューションズ&ネットワークス(NSN)は、プライベートイベントを東京で開催し、基地局の中にサーバを埋め込んでコンテンツ配信などに利用する仕組み「Liquid Applications」などを紹介した。通信事業者にとって、回線を提供する役割だけを担う“土管化”から脱却を図る機会になるかもしれない。
ノキアソリューションズ&ネットワークス(NSN)は2013年10月30日に、東京都内でプライベートイベント「eXperience Day 2013」を開催し、同社の新しい技術「Liquid Applications」などについて説明した。
Liquid Applicationsは、「基地局とサーバを一体化する」もので、2013年2月25〜28日までスペイン バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2013(MWC2013)」で初めて紹介された。具体的には、NSNが提供する基地局装置にサーバを挿し込む。
コンテンツプロバイダは、基地局装置に内蔵されているサーバに直接コンテンツをアップロードしておき、ユーザーはそこからコンテンツをダウンロードすることになる。ユーザーにとっては、サーバとの距離がより近くなるので、ダウンロード時間が短くなる、応答速度が速くなるといったメリットがある。
さらに、交通情報や天気情報、商業施設やイベントの情報など、基地局周辺に特化したピンポイントの情報を素早く得られるようになることも特徴だ。「基地局でデータを取捨選択したり圧縮したりすることもできるようになる」(NSN)。
NSNは、「基地局装置内のサーバをコンテンツプロバイダに提供することで、通信事業者が収益を得る仕組みができる。基地局を高機能化させるLiquid Applicationsは、通信事業者にとって、単に回線を提供するだけの“土管化”を防止する手段になるのではないか」と述べている。
Liquid Applicationsの実証実験は、既に始まっている。NSNと韓国の通信事業者SK Telecomは、SK Telecomの実験室にLiquid Applicationsを導入し、2013年6月から3カ月にわたり実証実験を行った。韓国の他に、イタリアの事業者などからも引き合いがあるという。
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