インフィニオン テクノロジーズは2013年11月21日、都内で2013年度(2013年9月期)の業績に関する記者説明会を開催し、注力する「パワー半導体」「車載半導体」「セキュリティ」という3事業領域でシステム提案を強化し、2014年度(2014年9月期)以降も市場平均を上回る成長を持続させていく方針を示した。
インフィニオン テクノロジーズは2013年11月21日、都内で2013年度(2013年9月期)の業績に関する記者説明会を開催し、注力する「パワー半導体」「車載半導体」「セキュリティ」という3事業領域ともに好調に推移し、2014年度(2014年9月期)以降も市場平均を上回る成長を持続させていく方針を示した。
同社日本法人であるインフィニオン テクノロジーズ ジャパンの社長を務める森康明氏は「2013年度は、上期(2012年10月〜2013年3月期)に経済のスローダウンの影響を受け、(設備投資などを控える)ブレーキを踏む場面も多かった。ただ、下期は回復基調となり、アクセルもタイミング良く踏み込めた結果、下期は各事業で成長を達成できた」と業績を振り返る。オートモーティブ(ATV)事業、高耐圧/大容量パワー半導体を扱うインダストリアルパワーコントロール(IPC)事業、パワーマネジメント&マルチマーケット(PMM)事業、各種セキュアICを扱うチップカード&セキュリティ(CCS)事業の4事業部門ともに、2013年度第4四半期(2013年7−9月期)売上高は前年度第4四半期実績を上回り、成長基調が鮮明になっている。
事業別には、全社売上高の4割以上を占めるATV事業の売上高は過去最高の水準を維持し、前年度比3%の売り上げ増を記録した。「欧州での自動車販売の不振があったにもかかわらず、この成長は評価できる」とする。その上で、「自動車分野は、1台あたりの半導体搭載数が伸びる見込みであり、さらに、新興国市場での自動車販売数の増加が顕著になる。ハイブリッド車、電気自動車への注力を進めながらも、新興国の主流であるガソリン車向けが主な収益源となり、年間7%の成長が見込める領域」と2014年度以降も成長継続を狙う。
IPC事業とPMM事業のパワー半導体分野でも、さらなる需要拡大を見込んで今後年間10%程度の事業成長を計画し、インフィニオン全体として、今後年間8%の売り上げ成長を目指す。これらの成長率目標は、いずれも市場平均成長率を上回る値だ。森氏は、「新たな戦略的アプローチとして“Product to System”、“製品からシステムへ”を掲げ、システムを理解した提案を展開して、市場を上回る成長を達成する」と、目標達成に向けた方針を打ち出す。そして、森氏は「半導体業界のシステム提案と言えば、SoC(System on Chip)を想像されるが、われわれのシステム提案は、SoCではない。SoCは、システムを知らなくても作ることができる。われわれは、顧客と密接な関係を築き、“顧客のシステムを理解した提案”を行う」と付け加える。
“顧客のシステムを理解した提案”の具体例として、森氏が挙げるのが“Uチップ”だ。Uチップは、低価格自動車や2輪車向けに展開するICであり、パワー制御部、通信インタフェース部、センサーインタフェース部といったエンジン制御に必要なアナログ系回路を1チップに集約したデバイスだ。マイコンを取り囲む周辺デバイスを全て1チップに統合させた。「こうした統合は、自動車を作る側と同じ理解がないとできない。また高集積型のデバイスは、共同開発する顧客専用のカスタム製品になりやすい傾向にあるが、カスタム製品だと数量が出ず、低コスト化できない。その点は、共同開発する顧客も理解しており、当社の場合、標準品として、共同開発した顧客にも販売している。それができるほど、顧客と密接な関係が構築できている点が強みだ」と説明する。
パワー半導体分野でも、パワーデバイス、制御ICを集約したシステムソリューションを複数用意して、シェア向上を目指す。
国内パワー半導体市場は、有力な国内パワー半導体メーカーが複数社あり、海外に比べ厳しい市場環境にあるが、森氏は「徐々にではあるが、日本でのパワー半導体ビジネスも拡大している」という。「当社のパワー半導体の生産は、欧州とアジアで実施しており、地理的にも為替的にも柔軟な対応が取れる体制だ。この点は、安定供給を求める国内の顧客からも高い評価を得ている。また、大容量のパワー半導体では業界で唯一となる300mmウエハーでの量産をスタートさせており、その点でも優位性が発揮できている」と語っている。
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