ワラル氏はウェアラブル端末市場の今後についても言及した。同氏は「Appleをはじめとする既存の大手企業や新興企業も含めて多くの企業が参入を狙っている」と、市場としての注目性の高さを主張。しかしその一方で、「ウェアラブル端末にはユースケースが十分に確立していないという問題点がある。現在のウェアラブル端末というのは、スマートフォンのアクセサリーのような立ち位置として捉えられており、ユーザーはまだその存在に納得してない」(同氏)と指摘した。
同氏はこうした現状を変えるきっかけになると挙げたのが、Appleが2015年春に発売を予定している「Apple Watch」だ。ワラル氏は「コンシューマー市場における現在の王者はAppleだろう。Apple Watchの発売は、こうした現状を多く変える可能性がある。ウェアラブル端末市場は、Apple Watchが発売される2015年は大きく成長すると予測している。スマートフォンのように生活になくてなならないものになる可能性もある」と語った。
また、ウェアラブル市場における覇権争いについては「これから多くのプレイヤーが参入してくるが、勝ち組は少ない。Apple Watchのデベロッパー企業が重要な存在になるだろう」としている。
ワラル氏はIoT(モノのインターネット)の世界市場の今後については、「年間10%以上の成長率で市場が拡大すると予測されている。また、潜在市場も大きい」と語った。また同氏は、IoT市場の拡大が予測される一方で、市場を「デバイス」「プラットフォーム」「アプリケーション」「サービス」の4つの階層に分けた場合、既にAppleに加え、近年IoT関連企業の買収を行ったサムスン電子(Samsung Electronics)やGoogleなどが複数の階層に存在していることを指摘。「中小企業の多くはピラミッドの下層部分に位置することになるだろう」(同氏)と語った。
またワラル氏は、IoT市場の拡大に関連してCMOSセンサーの重要性について言及した。「クルマや家などに関するIoT関連サービスの一部では、高精度なモノの認識が必要になる。その場合、CMOSセンサーの存在が重要視されるようになり、今後市場は拡大していくと考えている。ソニーの経営再建においても、CMOSセンサーは重要な役割を担うのではないか」(ワラル氏)(関連記事:見えてきたソニー構造改革の終着点、問われる“止血”後の世界)。
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