ラピスセミコンダクタは2015年2月、耐圧80Vのプロセス技術を用いて最大16個のリチウムイオン電池セルの監視が行える電池監視IC「ML5239」を開発したと発表した。
ロームグループのラピスセミコンダクタは2015年2月17日、耐圧80Vのプロセス技術を用いて最大16個のリチウムイオン電池セルの監視が行える電池監視IC「ML5239」を開発したと発表した。10セルを超える多セルリチウムイオン電池を用いる家庭用蓄電システムや無停電電源装置(UPS)など向け。既にサンプル出荷中で、量産は2015年5月からを予定している。
リチウムイオン電池セルは、化学反応によって充放電を行うため、最初から容量にバラつきがあったり、電極や電解液の経年劣化によって容量が低下したりする。これら容量の異なる電池セルに充電する際には、他と比べて容量の少ない電池セルが過充電にならないように、各電池セルの電圧を監視する電池監視ICが必要になる。
家庭用蓄電システムやUPSなどに用いられるリチウムイオン電池の電池セル数は10〜60セルと大規模であり、コストやサイズ面などから1つの電池監視ICで監視できるセル数を増やすことが求められている。ただ、1セル当たり3〜4Vの直列接続された複数セル電圧を1度に監視するには、高い耐圧を実現しなくてはならない。
その中でラピスセミコンダクタは、「業界最高クラス」という耐圧80V(動作電源電圧10〜72V)で、16直列セルまで監視できるML5239を開発した。
ML5239は16直列セル監視対応に加え、ML5239同士を多段直列接続する機能を備え、64直列セルのリチウムイオン電池でも4個のML5239で監視が行え、「多直/高電圧なリチウムイオン電池監視システムの大幅な簡略化に貢献する」(ラピスセミコンダクタ)。
パワーダウン時消費電流は0.1μAで、セル電圧監視測定精度は±10mV。12ビットA-Dコンバータを内蔵し、測定値をデジタル化してSPIにより外部送信できるなどの特徴を持つ。パッケージは12mm角サイズのTQFP64を採用。サンプル価格は1200円となっている。
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