毎年のように洪水に見舞われるインドネシア・ジャカルタ。適切な防災・減災には、正確な災害情報をどれだけ集められるかが重要だ。富士通と富士通インドネシアは、ジャカルタ市民がスマートフォンでリアルタイムに災害情報を送信、シェアできるシステムを構築した。
富士通とFujitsu Indonesia(以下、富士通インドネシア)は2015年3月23日、インドネシアのジャカルタ特別州防災局(以下、ジャカルタ防災局)向けに、市民が災害情報を共有できる「市民参加型災害情報共有システム」を構築したと発表した。
市民はスマートフォンの専用アプリを使って、河川の水位や雨量などの情報を同システムに送信する。例えば、自分がいる場所の近くの川が増水していた場合、その写真と、簡単なメモや感想などを送信するといった具合だ。送信日時や送信地点のGPS情報も、自動的に送信される。こうした全ての情報は1つの地図上に集約され、市民はアプリを使ってこれらを参照できる。
ジャカルタ防災局は2015年3月に、約1000万人のジャカルタ市民にスマートフォンアプリを提供し、運用を開始する。なお、スマートフォンのアプリはインドネシア語、英語、日本語の3カ国語に対応している。
さらに、市民参加型災害情報共有システムは、ジャカルタ防災局の「災害情報管理システム」と連携している。これにより、同局が発令した警報などを、アプリがインストールされたスマートフォンに、リアルタイムにプッシュ型で通知する。なお、この災害情報管理システムも富士通が2013年に提供したものである。
ジャカルタは、これまで何度も大規模な洪水に見舞われてきた。2015年2月も、激しい雷雨によって洪水が発生したばかりだ。ジャカルタは災害対策を改善するため、2013年12月に富士通の災害情報管理システムを導入した(前出の図版「『市民参加型災害情報共有システム』の概念」内にも表示されている)。ただ、災害情報管理システムでは、河川の水位情報などを防災関連機関の職員しか入力することができなかった。今回は、市民からも情報を集めることで、より広範な地域の状況が、より正確に、かつリアルタイムで分かるようになる。これまでは、テレビやラジオ、ジャカルタ防災局のWebサイトでしか災害情報を得ることができなかったジャカルタ市民にとっても、スマートフォンから情報を入手できることは、適切な防災や減災に役立つはずだ。
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