Spansionからは、自動車事業部事業部長兼副社長の赤坂伸彦氏が登壇し、車載用マイコンの動向と同社の最新ソリューションを説明した。
赤坂氏は始めに、自動車用マイコンの市場が拡大しつつある様子を説明した。世界市場における自動車の販売台数は年率3.5%で伸びると予測しており、2018年には1億台に達する。特に新興国では高い伸びを示す。ブラジルでは年率6.5%の成長が、中国では年率9.5%の成長が期待できる。
そして自動車の構成部品に占めるエレクトロニクスの比率が増えている。現在の自動車では平均すると、1台当たりにおよそ350米ドルの半導体を搭載しているという。自動車販売台数の増加とエレクトロニクス比率の上昇により、自動車用半導体の市場規模(金額、世界市場)は今後、年率9.5%で伸びていくと説明した。
Spansionは2014年5月20日に、ARM Cortex-R5コア(以下は「R5コア」と呼称)をCPUコアとする車載用マイコンファミリ「Traveo(トラビオ)」を発表した(関連記事)。その後、Traveoファミリの新製品を相次いで開発し、発売してきた。2つのモーターを制御するデュアルコアマイコン「MB9D560」を始め、CAN-FDネットワークに対応したボディ制御用マイコン「S6J311E/D」(関連記事)、3Dグラフィックスに対応したメータークラスタ用マイコン「S6J326CK/S6J324CK」(関連記事)などである。説明会の当日である2015年3月26日には、メータークラスタ用マイコンの新製品「S3J32BA/DA」を発表した。
現在のところTraveoファミリは主に3種類の用途で製品展開している。1つは、モーター制御用のデュアルコアマイコン。2輪のそれぞれにモーターを配置したハイブリッド自動車で2つのモーターを独立に1個のマイコンで制御する。もう1つは、ボディ制御/HVAC制御用マイコンである。ヘッドライトやワイパー、ドアミラー、パワーウィンドウ、タイヤ空気圧モニター、テールライト、エアコンなどを制御する。3番目が、メータークラスタ用フラッシュマイコンである。このマイコンは画像メモリを内蔵しているので、画像用のメモリバッファを外付けせずに済む。
また説明会の会場では、Traveoファミリのマイコンによるデモ展示が実施された。1つはメータークラスタの制御デモ、もう1つは、2つのモーターを1個のマイコンで制御するデモである。
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