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独創性や革新性を追求、パワーエレ分野で6つの先導研究パワー半導体

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、パワーエレクトロニクスの新たな応用分野を見出すために、新たな先導研究に取り組む。同分野における独創性や革新性の高い用途発掘と新市場創出を目指す。

» 2015年06月15日 15時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2015年6月、パワーエレクトロニクスの新たな応用分野を見出すために、新たに取り組む先導研究を発表した。独創性や革新性の高い用途発掘と新市場創出を目指す。

 今回は6つのテーマを採択した。その1つが、「SiCモジュール特性を前提とした新車両主回路システムの基礎研究」(委託予定先:鉄道総合技術研究所)である。高耐圧のSiCモジュールを用いた車両主回路システムの実現とその可能性について、ミニモデルを使って検証する。

 2つ目のテーマは、「多様な電力融通システムを実現するSiC・GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを用いたY字電力ルータ基本セルの研究開発」(委託予定先:京都工芸繊維大学、首都大学東京)。SiCとGaNパワーデバイスを用いたY字電力ルータ基本セルを設計/試作して、実用化に向けた課題を抽出する。

 3つ目は、「次世代パワーデバイスを用いた発電電動一体ターボチャージャによる排熱回収システムの研究開発」(委託予定先:ACR)。インバータ制御の発電電動一体ターボチャージャにより低速トルクアップを行い、エンジンのダウンサイジングによる低燃費化と排気エネルギーから得られる電気エネルギーで発電電動機を駆動するシステムを開発する。

 4つ目は、「コンパクト加速器を実現するための超高速・高電圧パルス電源の開発」(委託予定先:高エネルギー加速器研究機構、パルスパワー技術研究所)。先端医療用の加速器などの用途に向けて、小型の高速/高電圧パルス電源の開発を目指す。

 5つ目は、「小型高効率GaN発振器を用いたUV-C発生装置の研究開発」(委託予定先:東京計器、プラズマアプリケーションズ)。GaNを用いて小型/高効率な自励式マイクロ波発振器を開発し、マイクロ波によって点灯するUV-C発生装置を開発する。

 6つ目は、「SiC/GaNパワーデバイスMHz帯スイッチングDC-DCコンバータの先導研究」(委託予定先:信州大学、大阪大学)。鉄損と銅損が小さい高周波低損失リアクトルトランスを開発し、効率が高く小型軽量のDC-DCコンバータを開発していく予定である。

 パワーエレクトロニクスは、自動車や鉄道車両、産業機器、家電製品などあらゆる用途で用いられている。しかも、高性能で低消費電力の機器やシステムの開発に不可欠なコア技術の1つとなっている。このため、NEDOにおいても、2009年度より次世代パワーエレクトロニクスプロジェクトを開始。高品質のSiC(炭化ケイ素)ウェハー及びそれを用いた高出力SiCデバイスなどの開発を行ってきた。これらの研究成果をベースに、今後はシステム応用へと発展させていく。

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