FinFETとFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)の両方の技術を、用途などに合わせて採用しようと考える半導体メーカーが増えているという。ファウンドリ側も、こうしたニーズに柔軟に対応することが必要になってくる。
ほとんどの半導体メーカーは、FinFETか、FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)のどちらかを採用している。ただし、GLOBALFOUNDRIES、Samsung Electronicsなどのファウンドリは、顧客企業に対して両方の技術を提供しなければならないだろう。両方のプロセスの使用を検討するチップメーカーも増えている。
例えば、Freescale SemiconductorがEE Timesに明かしたところによると、同社は高速かつ低消費電力なチップを実現するために、14nm〜16nmノードにはFinFET技術を、28nmノードにはFD-SOIを適用しているという。ただし、両製品はまったく別の分野に向けたものになる。
Freescaleのマイコン(MCU)グループでアプリケーションプロセッサ/最先端技術担当バイスプレジデントを務めるRon Martino氏は、EE Timesに対して、「Freescaleは、あらゆるファウンドリと提携し、比較的単純な技術から複雑な技術まで幅広いプロセス技術を適用した製品を扱っている。その多くは当社が独自に開発した技術だ。結果的に当社は、FinFETとFD-SOIの両方に最適化したロードマップを開発してきたことになる。例えば、FD-SOIウエハーは高コストだが、28nmのアプリケーションプロセッサ『i.MX』の消費電力と性能の両方を強化できる。一方、デジタルネットワーキング向け製品の場合、成功のカギを握るのはFinFETだ」と説明している。
「FD-SOIは、センサーの統合を必要とするチップに適している。当社の28nm FD-SOIチップはRFとアナログ機能を備え、ウェアラブル製品に求められる接続性と低消費電力の両方をバランスよく実現している。40nmと28nmにはFO-SOI、14nm〜16nmのような最先端ノードにはFinFETといったように、ノードによって最適なプロセス技術は異なる。微細化やコストの最適化の実現は、われわれがFD-SOIとFinFETをいかに効率的に採用するかにかかっている」(Martino氏)。
ST Microelectronicsは、FinFETではなくFD-SOIを採用してきた。「FD-SOIは、トランジスタの下に埋め込み酸化膜(BOX)を形成する。トランジスタチャネルが実装されたシリコン膜は非常に薄く、チャネルドーピングが不要になるので、トランジスタを完全空乏型にすることができる。それによってリーク電流を最小限に抑えられる」と説明している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.