既に量産済みの第1世代品は、液晶駆動能力が最大でHD(1280×720画素)だったのに対し、第2世代品に相当するClearPad 4300は、フルHD(1920×1080画素)までに拡張。「他にも、細かな部分で、旧RSPのノウハウが生かされており、液晶駆動面での性能向上が図れている」とする。
これまで別個のICだった液晶駆動とタッチ制御を1チップ化する最大の利点は、コスト削減効果だ。ICごとに必要だったフレキシブル配線板を1枚に削減できるなどシステムコスト低減が見込めるためだ。個別ICよりも、開発時間がかかり、最先端のディスプレイ解像度に対応しにくいなどの欠点があるが、「生産数量の多いミッドレンジのスマートフォンなどに最適なデバイスだ」(Barber氏)とする。
加えて、一体開発することで、ノイズ管理面での優位性もあるという。微弱なセンサー信号を読み取るタッチ制御機能にとって、ノイズは大敵。だが、そのノイズを生み出す発生源が液晶駆動部という関係にある。そこで、タッチ制御と液晶駆動部を同期し、協調動作させることで、液晶駆動からのノイズを避ける形で、高感度にタッチ検出を行うことができるという。Synapticsは、液晶駆動IC、タッチ制御ICが別個のディスクリート構成でも双方で協調動作させる「TDsync技術」を持っており、ClearPad 4300にも適用することで、高感度、高速なタッチ検出を実現したとする。ClearPad 4300は、現在サンプル出荷中で、2015年内の量産開始を予定する。
Synapticsでは、TDDI製品の開発と並行し、超高解像度を求めるハイエンドスマートフォンなどの用途や、低価格重視のローエンドスマートフォンなどの用途向けに、液晶駆動IC、タッチ制御ICそれぞれの製品開発も強化していく方針。その中で、「業界初」をうたう、4K UHD対応の液晶駆動ICを製品化した。Barber氏は「RSP買収後に、旧RSPのリソースが中心になって開発に着手した製品。従来のRSPは、日本国内の大手顧客を特に意識した製品仕様が多かったが、新製品はSynapticsらしく日本国内はもとより、グローバルの全てのユーザーのニーズに対応できる仕様になった」と、買収による相乗効果を反映した製品であるとする。
日本での開発体制について氏は、「旧RSPの従業員の97%が今も在籍し、開発人員を中心に日本に約400人の従業員を抱えている。液晶駆動技術の開発はもちろんのこと、ClearPad 4300での液晶駆動とタッチ制御の統合作業も日本で実施した。日本は多くのリソースがあるだけでなく、米国本社よりも日本やアジアの顧客との距離が近いという利点もある。今後はさらにタッチ制御機能部も含め、日本の拠点でテスト、評価できるようにするなど強化していく予定だ」との方針を打ち出している。
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