TSMCの2015年6月における売上高が、前年同月比で0.6%減少した。UMCの売上高も減少している。今のところ減少幅は小さいが、商戦が活発になる下半期に向けて、両社は不安を拭い切れないようだ。
世界最大のファウンドリであるTSMCは2015年7月9日(台湾時間)、同年6月における売上高が前年同月比で0.6%減少したことを明らかにした。同社の売上高成長がマイナスを記録したのは、2012年1月以来初めてのことだという。
また、TSMCの“隣人”ともいえるUMCは、2015年6月の売上高が前年同月比で2.8%減少したと発表している。
現在、TSMCとUMCの2社だけで、世界のファウンドリ製造全体の60%以上を占めている。このため両社は、世界経済の健全性を表す重要な指標だといえる。両社の2015年1〜5月の売上高は、いずれも変動していたが、6月の売上高報告では、ついにマイナスを記録することになった。
今のところ売上高の減少幅は非常に小さい。しかし、TSMCとUMCはいずれも懸念を抱いているようだ。ハイテク業界では通常、エレクトロニクス関連企業が年末のホリデーシーズンに向けて準備を整えていくことから、上半期よりも下半期の方が業績が優れている傾向にあるためだ。
TSMCは2015年4月16日に、2015年第1四半期の業績発表を行い、「半導体業界の年間成長率について、以前は5%と予測していたが、世界のマクロ経済情勢を考慮し、4%に下方修正した」と述べている。同社は、世界ファウンドリ市場全体の成長率は10%程度と、低迷する見込みだとしている。
TSMCはこの時、「2015年後半には回復基調に向かい、売上高も2014年比で増加して、2桁台の成長を遂げる見込みだ」と述べている。同社は2015年7月16日に、第2四半期の業績と展望について発表する予定だ。この時にどのような見解を示すのか、注目したい。
一方、UMCは2015年4月29日に、同年第1四半期の業績発表を行い、その中で、「2015年後半の展望を見通せない」と述べている。同社もまた、2015年7月後半に、同年第2四半期の業績発表を予定しているという。
ファウンドリの今後の見通しが悪化していることを受け、装置や材料を提供するサプライヤにもマイナスの影響が及んでいる。TSMCは2015年初めに、当初予定していた設備投資費を約10億米ドル削減している。またIntelも、2015年の設備投資予算を約13億米ドル削減した。
一部の企業にとっては悪いニュースも、他の企業にとっては良いニュースとなるようだ。TSMCとUMCが、下がる一方の設備稼働率を立て直そうとすれば、両社の顧客企業にとっては、値下げ交渉を行いやすくなるだろう。これは、資本集約型のビジネスを手掛ける顧客企業各社にとって、利益を維持していく上で非常に重要な点だといえる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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