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Intelのモデムは、次期iPhoneに搭載されるのか根強いうわさ(2/2 ページ)

» 2015年08月18日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]
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うわさの出どころ

 VentureBeatは2015年3月に投稿した元の報道で、2つの匿名の情報筋について言及した上で、次のように報じた。「Intelは過去1年間、iPhoneのデザインウィンを必死に獲得しようとしていたが、少なくともその一部を手にすることに成功したようだ。情報筋によれば、IntelのXMM 7360は、アジアや南米など新興市場を狙う特別なiPhoneに搭載される見込みだという」。ここで、iPhone 6cとは言っていないものの、“新興市場を狙う特別なiPhone”と記載されていることに注目したい。

 一方で、Webサイト「9TO5Mac」に掲載された記事では、“Intelのデザインウィン獲得説”が一蹴されている。同記事は、リークされたiPhone 6sのメインボード(プロトタイプ)画像を掲載している。その画像にはQualcommのモデムチップ「MDM9635M」が読み取れる。同チップは「Gobi 9×35」としても知られるものだ。9TO5Macの記事には、「この新しいチップは、『iPhone 6』『iPhone 6 Plus』に搭載されている9×25チップよりもさらに性能が上がっている。これにより、LTEでの下り通信速度は理論的には現在の2倍になる」と書かれている。

 ただし、9TO5Macの記事では、廉価版であるiPhone 6cに関する推測は述べられていない。iPhone 6sのデザインウィンはQualcommが獲得したかもしれないが、iPhone 6cにはIntelのチップが採用されている可能性もある。

最先端の性能で選べば、やはりQualcomm

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 Appleは、IntelのLTEモデムチップを詳細に調査したはずだ。米国の市場調査会社であるTIRIAS Researchの創設者で主席アナリストのJim McGregor氏は、「メーカーにとって、複数の製品を評価・検討した上で最適なチップを選び、価格交渉を行うことは自然である」と述べる。

 ただし、同氏は、「Appleは、ハイエンドモデルには最良の製品しか搭載しない」という点では、同僚のKrewell氏と同じ見解を示している。

 では、Intelが「Mobile World Congress(MWC) 2015」(2015年3月2〜5日、スペイン バルセロナ)で発表したXMM 7360と、QualcommのモデムプラットフォームGobi 9×35の間にはどんな違いがあるのだろうか。IntelはXMM 7360について、「カテゴリ10に対応し、450Mビット/秒の下り通信速度を実現した」と説明している。

 McGregor氏は、「確かに、IntelのLTEモデムは性能を大幅に向上させ、スマートフォンで主流となっているカテゴリ4/カテゴリ6にも対応している」と認める一方で、「それ以外にも重要な点はある。決め手は、キャリアアグリゲーションのような最先端機能だ」と述べている。

 同氏は、「Qualcommは、対応する周波数帯の多さとキャリアアグリゲーションを組み合わせることで、他のベンダーよりも大きくリードしている。さらに、Qualcommのモデムは、LTE Broadcastのような最先端機能にも対応している」と付け加えた。

 さらに同氏は、「Qualcommのモデムを採用すれば、先進国市場のキャリアは、LTE-U(アンライセンス周波数帯)やLTE Broadcastのような最先端のLTE機能を利用できるようになる。これによって、周波数利用効率を改善したり、競合企業との差異化を図ったりできる」と説明している。

 Krewell氏は、QualcommとIntelのLTEモデムチップを比較して、「Qualcommの最新モデムチップは、TSMCの20nmプロセスで製造されている。一方、Intelのモデムには、TSMCの28nmプロセスが適用されていると思われる」と述べている。

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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