“米国発”Synergyをお披露目、ADAS関連も : ルネサス DevCon 2015 (2/2 ページ)
Sebt氏は、Synergyプラットフォームの特徴を「拡張性」と「互換性」という2つのキーワードで表した。ルネサスは同プラットフォーム向けのマイコンを、既存のものは使わずに新たに開発しているが、それも拡張性と互換性を実現するためだ。
「Renesas Synergyプラットフォーム」向けに、新たに開発されたマイコン(クリックで拡大)
Synergyプラットフォームの拡張性と互換性を実現する鍵の1つであるマイコン。アプリケーションに合わせて、超低消費電力の「S1」、高効率の「S3」、高性能の「S7」へと移行してもマイコンの端子配置などは変わらない。一度書いたソフトウェアは何度でも再利用できる(クリックで拡大)
従来の組み込みシステム開発では、ハードウェア設計の後に、ドライバソフトウェアやミドルウェアの設計、RTOSの実装、クラウドへの接続など、基本的なシステムコード開発(図版の「Essential system Code」)という工程があったが、Synergyプラットフォームを活用することで、同工程にかかる時間を大幅に減らすことができる。その分、差異化を図りやすいアプリケーションコードの開発や他の機能の追加に時間をかけることができる(クリックで拡大)
Sebt氏は、「拡張性」と「互換性」という言葉を何度も繰り返し、SynergyプラットフォームによってIoT機器開発の負担を減らすとともに、市場参入の障壁を下げ、IoT市場の裾野を広げることに貢献することを強調した。
なお、Synergyプラットフォームのアーキテクチャの詳細については、別記事にて後日お伝えする。
基調講演のもう1つのテーマとなっていたのが、ADAS(先進運転支援システム)関連の技術だ。ADASは、車載の中でもルネサスが注力する分野の1つである。同社のADASへの取り組みは、2015年9月に、車載情報システム向けSoC「R-Car」の新シリーズとして、車載カメラネットワーク用の「R-Car T2」と車載無線通信用の「R-Car W2R」を相次いで発表したことで、より強化されている。
R-Car T2はEthernet AVBに準拠し、1280×960ピクセルのHD映像を1ms以下の遅延で出力することが可能だとしている。一方のR-Car W2Rは、IEEE 802.11pに準拠した5.9GHz帯の車車間・路車間通信向けのSoCで、送信帯域外雑音を−65dBm以下に抑えた。
また、「R-Car H2」を使い、自動車に搭載したカメラやレーダー、レーザーレーダー(ライダー)から集めた周辺環境の情報を処理してディスプレイに表示する、いわゆるセンサーフュージョンについても紹介した。
カメラやレーダーを搭載したクルマで周辺環境をモニタリングする(左)。レーダーを使って実際にモニタリングしている様子(クリックで拡大)
DevCon 2015ではADAS関連のデモも多数行われているので、そちらについても後日紹介したい。
ルネサスが米国でDevConを開催、その理由とは
ルネサス エレクトロニクスは2015年10月12〜15日にかけて、プライベートイベント「Renesas DevCon 2015」を米国ロサンゼルス近郊にて開催中だ。今回のDevConを米国で開催する狙いについて、同社の執行役員常務兼CSMO(Chief Sales Marketing Officer)およびグローバル・セールス・マーケティング本部 本部長である高橋恒雄氏に聞いた。
ルネサス、V2X向け5.9GHz帯無線LSIを製品化
ルネサス エレクトロニクスは2015年9月29日、欧米の車車間/路車間通信(V2X)で使用される通信規格「IEEE 802.11p」に準拠した5.9GHz帯無線LSI「R-Car W2R」を発表した。
ルネサス、車載カメラ映像を高速圧縮するSoC
ルネサス エレクトロニクスは車載カメラネットワーク用SoC「R-Car T2」を開発したと発表した。Ethernet AVBに準拠し、独自に開発したH.264エンコーダで映像を高速に圧縮することによって、1280×960ピクセルのHD映像を1ms以下の遅延で出力できるという。
ルネサスが語る、クルマを安全に制御する車載マイコンの“技術の四隅”
ルネサス エレクトロニクスが、自動運転を視野に入れた運転支援システム向けに開発した車載マイコン「RH850/P1x-Cシリーズ」は、同社が「車載マイコンの技術の四隅」と呼ぶ、クルマを安全に制御する4つの技術課題をクリアしている。
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