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1人の男が挑戦する“スマートホーム”の答え探しリノベる「Connectly Lab.」(3/3 ページ)

» 2015年10月21日 10時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]
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木村氏の入社でコンセプトが変わる

 Connectly Lab.は最初の構想時点で、IoTデバイスのあるショールームができる予定だった。IoTデバイスのあるショールームから、現在のスマートハウスラボのようなコンセプトへと変化したのは、2015年5月に同社に転職した木村氏の影響が大きい。

 「最初の構想が考えられたとき、私はちょうど営業マネジャーの候補として、同社の面接を受けている途中でした。その話を面接で聞いたときに『趣味でIoTデバイスを作っている』と話したことが、私の“職種”が変わるきっかけになりました」(木村氏)

 木村氏は、以前の職場で営業マネジャーとして働きながら、センサーとマイコンを活用し、会議室にどの時間に人がいるかどうかを感知するデバイスを個人で作っていた。当時のことを、「会社の会議室が予約されているのに使われていないという課題があったので、そういうの作ろうかなあと思って」とさらっと話すが、エンジニアではなかった木村氏はゼロから本を読み勉強したのだという。勉強した内容をメモのような形で書いていたブログを、採用担当者が読んだことから木村氏の“職種”が変わることになった。

 営業マネジャーの予定から新規事業チームの配属が決まった木村氏は、入社する2015年5月より前から構想を練り、スマートデバイスの選定やオープンまでの設計を中心的に行った。入社から約4カ月という早さで、Connectly Lab.のオープンまで至っている。

木村大介氏。半導体製造装置メーカー、Web広告企業、リノベると、さまざまな業界で挑戦し続けている。その背景には、「テクノロジーを通して人々の生活に貢献したい」という思いがあるという。

日本をスマートハウスの発祥地に

 Connectly Lab.の今後の展開として、「2016年に何らかの形でアプリを提供したい」と木村氏は語る。2016年は、複数の家電を操作できるといった機能しかないかもしれないが、2019年には一般的な家庭でも使用できる形でアプリを提供する予定としている。

 「2019年に実現したいのは、“家のアプリケーション”。現在のアプリは、スマートフォンで新しくダウンロードして、アイコンが出てきて使用できる。そのように、家にもどんどん新しい機能を追加できる状態にしたい。家に入ったら勝手に照明がつくとか、家の前を誰かが通ったらカメラで撮ってくれるとか。そのような機能を新しくデバイスを買うのではなく、ソフトウェアで追加できる状態を実現したい」(木村氏)

 Connectly Lab.が抱える課題も多くある。1つ目は、ハードウェアは多く集まっているが、ソフトウェアが集まらないことである。スマートデバイスのAPIを公開し、開発できる環境も整えているが、思っているより開発者が集まっていない現状がある。「リノベるのメリットにならないと、Connectly Lab.で開発してはいけないのではないか」(木村氏)といった抵抗感が開発者にあるという。「開発者やアプリメーカー自身の収益のためでもいいので、どんどん開発してほしい」と木村氏は語る。

 ビジネス的な課題もある。Connectly Lab.のスペースを活用したビジネスは考えていないとしているが、今後はアプリのプレミアム会員制やスマートデバイスから得られるビッグデータを活用した形を考えているという。また、家に設置される家電の多くにはディスプレイが搭載されているため、そこに広告を出すことも考えているとしている。

 最後に、木村氏にConnectly Lab.での野望を聞くと、「スマートハウスを日本から世界中に広めること。PC、スマートフォン、自動車も海外メーカーの存在が大きくなっている。じゃあ、スマートハウスの発祥といったら“日本”にしていけたらと。そのために、Connectly Lab.に集まる皆でスマートハウスの形を創ってきたい」と語ってくれた。

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