また、開発した高結晶性オープンセル型ポーラス炭素に対して、複数の高温条件で2時間の黒鉛化処理を行った。そうしたところ、黒鉛化処理温度が上昇すると、黒鉛化度はさらに向上した。これに対して,全気孔体積および比表面積の減少は極めて小さく,脱成分後と同等の比表面積を維持できることが分かった。
窒素ガス吸着法で測定した高結晶性オープンセル型ポーラス炭素粉末の気孔径分布。黒線が800℃脱成分後、青線、緑線、赤線は黒鉛化処理後(青線:1773K、緑線:2273K、赤線:2773K) (クリックで拡大) 出典:東北大学
高結晶性オープンセル型ポーラス炭素の比表面積(SBET)、全気孔容積(Vp)及び、黒鉛化度の指標となる(002)面間距離(d002)と、DバンドとGバンドピークとの強度比(ID/IG) 出典:東北大学研究グループは、開発した高結晶性オープンセル型ポーラス炭素と、アセチレンブラック(AB)及び黒鉛の実用炭素材料について、体積抵抗率と密度の関係性を比較した。この結果、いずれの材料も密度の上昇により体積抵抗率は減少するものの、高結晶性オープンセル型ポーラス炭素は、ABよりも体積抵抗率が低くなることが明らかとなった。さらに、黒鉛化処理を行うことで、天然黒鉛と同等の体積抵抗率に低減させることに成功した。
粉体抵抗率測定装置を用いて測定した高結晶性オープンセル型ポーラス炭素(赤線は脱成分後、青線は黒鉛化処理後[2773K])、黒鉛(緑線は人造、橙線は天然)及び、アセチレンブラック(黒線)の体積抵抗率と密度の関係 (クリックで拡大) 出典:東北大学研究グループでは、高結晶性オープンセル型ポーラス炭素の黒鉛化処理と賦活処理を効率的に組み合わせることによって、黒鉛化度と比表面積のさらなる改善を目指していく予定だ。なお、TPR工業はサンプル品の出荷を行うため、製造設備の導入を完了した。工業化に向けて生産体制を整えるとともに、各種用途に適応する高結晶・大表面積のポーラス炭素を量産するために、新たな製造設備の開発にも着手した。
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