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小型センサー、いつでもどこでも「におい」識別呼気でがん検出も可能に

物質・材料研究機構(NIMS)は、「nano tech 2016 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で、MSS(Membrane-type Surface stress Sensor/膜型表面応力センサー)と呼ぶ小型センサー素子を用いた、におい分析システムのデモ展示を行った。

» 2016年02月01日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 物質・材料研究機構(NIMS)は、「nano tech 2016 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(2016年1月27〜29日、東京ビッグサイト)において、MSS(Membrane-type Surface stress Sensor/膜型表面応力センサー)と呼ぶ小型センサー素子を用いた、におい分析システムのデモ展示を行った。呼気によるがん患者の識別も可能だという。

 MSSは、においの元となるガス分子などを測定できる臭覚センサーである。MSS中央部にはポリマー系材料で製造した感応膜がある。これにガス分子が吸着すると、その膜にひずみが発生する。歪みによる電気抵抗の変化を、感応膜の周囲に埋め込まれた4つのピエゾ素子で検出し、その変化率などから分子を同定する仕組みである。

 感応膜に塗布する材料については明確にしていないが、「塗布する材料によって、さまざまなにおいを検知することができる。例えば、異なる材料を塗布した感応膜を複数個作成して、1個のセンサーチップ内に集積すれば、より多くのにおいに対応できる嗅覚センサーを実現することも可能」(説明員)と話す。

 このにおいセンサーは、呼気によるがん患者の識別などにも有効だという。すでにステージが進行した重度の患者において、識別可能なことが実証されている事例もあるという。今後はステージIなど初期のがんを見分けられるセンサーの開発に取り組む考えである。

 展示ブースでは、試作した手のひらサイズのセンサーモジュールを使い、エタノールと料理用酢、サラダ油の3製品について、においの識別デモを行った。「センサー部に付着した分子は比較的離脱しやすく、そのまま再利用しても問題はない」(説明員)ものの、測定の精度や作業効率を高めるため、試作品にはセンサー部を強制的にリフレッシュするためのクリーニング機構を新たに取り付けた。また、今回はセンサーモジュールとPCを、USBケーブルで接続したが、Bluetooth Smartなど近距離無線通信技術を用いて、モバイル端末などにデータを送信することも可能である。

センサー部のクリーニング機構を新たに取り付けた、手のひらサイズのセンサーモジュール

 展示ブースでは、2015年9月に発足した「MSSアライアンス」の活動もパネルで紹介した。NIMSや京セラ、大阪大学、NEC、住友精化及びNanoWorldの6機関が立ち上げたMSSアライアンスは、MSSを用いた、におい分析センサーシステムの実用化と普及に向けて標準化を目指すことにしている。

 同アライアンスでは、計測(センサー)モジュール技術、データ解析技術、及び解析データのデータベース技術など、それぞれ得意とする技術を持ち寄り、システムとしての完成度をさらに高めていく。これにより1〜2年後の実用化を目指している。用途としては、化粧品や食品などのにおい識別から、環境汚染管理機器/システム、健康管理などのヘルスケア機器、さらには医療応用機器などを視野に入れている。

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