『そこまで川野社長が勧めるTwinCAT3なら、実際に試してみるか』と思い、実際にインストールしてみたのですが ―― 口が割けたって、「楽々インストール」などということはありませんでした(繰り返しますが、私は、ちょうちん記事は書きません)。
そもそも、TwinCAT3は、Windowsにインストールして使う「リアルタイム性能を保証する」EtherCATのマスタ(ご主人様)のソフトウェアですが、そもそもWindowsというOSが、リアルタイム性能を保証しないのです。
リアルタイムを保証しないOSの上に、リアルタイムのアプリが載るということは、論理的にありえないことです。
ですから、TwinCAT3は、すごいことをします。
例えるのであれば「WindowsOSをジャッキで持ち上げて、そこに寝っころがって、力づくでWindowsOSの下に潜り込む」のです。そして、WindowsOSを、TwinCAT3のアプリケーションのように取り扱ってしまうのです。
もはや、これは“OSの下剋上(げこくじょう)”といっても良いでしょう。
で、こういうすごいことをするソフトウェアは、多くの場合、インストールに失敗すれば、回復不能の絶望的なトラブルを起こします。
私も一度TwinCAT2の時にインストールに失敗して、WindowsPC、1台を丸ごとパーにしたことがありますし、この連載の読者の方からも、同じような話を教えてもらったことがあります(私は、ちょうちん記事は(以下省略))。
TwinCAT3のインストールは、「お正月の年賀状作成ソフト」のインストールとは、訳が違います。インストールに失敗すれば、あなたのシステムを全て破壊する可能性が極めて高いことを認識しておいてください(可能なら、Acronisのようなバックアップソフトで、OSイメージ丸ごと、外部のHDDなどに退避しておくことを強くお勧めします)。
散々脅かしましたが、 ―― では、私の自宅セキュリティシステムを例として、TwinCAT3のインストール方法と、極めて簡単なプログラミングを説明させていただきます。
接続しているスレーブ(メイド)やマスタの配置は、前回のコラムの内容と同じものを使います(こちらを参照してください)。
私の場合は、ラダープログラムの一種であるST言語を勉強する気力はなかったので、最初からC/C++を使うことにしました。
目標は「アナログ入力のスレーブに接続されている光センサーに懐中電灯を向けると、デジタル出力のスレーブに接続されているLEDが点滅するようにする」としました。
では、次ページより、インストールの手順を紹介します。
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