IC Insightsによると、半導体IC市場はDRAMが回復基調にあることを受け、2016〜2017年にかけて、それぞれ1%、4%の売り上げ成長率を達成するという。
米国の市場調査会社であるIC Insightsの最新レポートによると、半導体IC市場は、DRAM市場が回復傾向にあることを受け、2016年に1%、2017年に4%の売り上げ成長率を達成する見通しだという。同社は、前回の予測では2016年の売り上げ成長率が2%減、出荷数を4%増と予想していた。2016年の出荷数も6%増に上方修正している。
一方で2016年6月には、米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)は、他のいくつかの市場調査機関の予測を支持する形で、「2016年の半導体売り上げは2.4%減少する」と予測していた。
IC Insightsのプレジデントを務めるBill McClean氏によると、DRAMの価格は過去1年半でかなり下落したが、スマートフォンやPC用の需要が増加したことやメモリベンダーが設備投資を抑えたことなどから安定しつつあるという。
McClean氏は、「最近は、スマートフォンメーカーからの需要が急増している。最先端のスマートフォンに搭載されるDRAMの容量が最大8Gバイトにまで増加しているためだ。PC市場も活気を取り戻しつつあり、安定した需要が期待される」と付け加えた。
また、中国のスマートフォンメーカーが4Gバイトと6GバイトのRAMを搭載する製品を発売することから、2016年末の数カ月は低電圧DRAMの需要がわずかに上昇すると予想される。
これまではデスクトップPCやノートPC、タブレット市場の低迷や、スマートフォンの売り上げ低迷によって、DRAMメーカーは価格を下げざるを得なかった。DRAMとNAND型フラッシュメモリの市場調査を手掛けるDRAMExchangeによると、2016年6月以降4GバイトDDR3の平均価格は12.5米ドルで落ち着いているが、32.75米ドルだった2014年10月と比べると62%下落したという。
DRAMの平均販売価格(ASP)が大きく変動するのは珍しいことではない。IC Insightsによると、DRAMのASPは2013年には最大48%、2014年には26%上昇したという。DRAM市場は2013〜2017年にかけてIC分野で最も大きく成長したが、2015年後半に需要の低迷による過剰在庫によって急激な値下げが行われ、2016年前半まで価格の下落が続いた。
IC Insightsは、「IC市場は2016年後半に、同年前半から12.3%の急成長を遂げる」と予想している。同社は、2016年第4四半期のIC売上高は、767億米ドルを記録した2014年第4四半期を上回る、769億米ドルに達すると予想している。
2017年のIC市場は4%の売上高成長率が見込まれているが、これは世界GDPがわずかに上昇すると予想されることに大きく関係している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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