以前私は、「電車への飛び込みの(当事者の)コストは安い」と申し上げました。ですが、実は安いどころか相当に高いということが分かってきました。今回からは、非常にツラい作業ではありますが、「飛び込み」について物理シミュレーションを行い、飛び込みがどれだけ酷なものであるかを皆さんに知っていただきたいと思います。
「世界を『数字』で回してみよう」現在のテーマは「人身事故」。日常的に電車を使っている人なら、1度は怒りを覚えたことがある……というのが本当のところではないでしょうか。今回のシリーズでは、このテーマに思い切って踏み込み、「人身事故」を冷静に分析します。⇒連載バックナンバーはこちらから
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なお、アンケートにご協力いただいた方には、江端の脱稿直後の(過激なフレーズが残ったまま?の)生原稿を送付させていただくという特典(?)がついております。
「職業に貴賤なし」ということわざがありますが、私たちは、結構な頻度で、職業で人を差別し、しかも、それが社会的合意によって形成されているというものもあります。
例えば「男性教諭が女子トイレにカメラを設置」「警察官が下着泥棒」「キャリア官僚がスカートの中をスマホ盗撮」「政治家が女子中学生と援助交際」「自衛官が女性暴行」など。
このような特定の職業の人たちに対しては、私たちは「犯罪者の人権」という言葉の発動を差し控えても良いということになっているようです。つまり、―― 構わないから(社会的に)殺(や)っちゃえ、です。
私は以前、1年近く、ダイエットに関する記事を連載し、世の中の「ダイエット本」の内容をボロカスに批判し続けてきました(関連記事:「人類は、“ダイエットに失敗する”ようにできている」)。さらに自分が提唱する方式で、実際に13kgの減量(ただし、太っていたのを普通に戻しただけ)を成し遂げ、ひそかに、この成果を誇っています。
このように、世間様に対してエラそうに持論を展開してきた私は、元の体重に戻ることが許されていません。元の体重に戻ってしまったら、もう誰も私の言うことを信じてくれなくなる ―― そういう脅迫観念は、常に私につきまとっています。ですから、こういうことにもなっています。
同じように、世間様に対してエラそうに「TOEIC批判」を展開した私は、TOEICで高得点を取ることが許されていません(関連記事:TOEICを斬る(前編) 〜悪魔のような試験は、誰が生み出したのか〜)。もう誰も私の言うことを信じてくれなくなるからです ―― だから、これは仕方がないことなのです。
そして、今、私は、世間様に対して「人身事故」について、冷酷ともいえる数値解析や、多くの人の心を逆なでする人格分析を続けています。同じように考えれば、私は、私だけは飛び込み自殺をすることが許されていない、との脅迫観念を持つべきなのかもしれませんが、正直、これだけは自信がありません。
特に、自殺原因のトップである病気「うつ病」については、調べれば調べるほど、恐しい病気であることがよく分かってきました。
「うつ病を本人の努力だけで直せる」などという話が、「気力でガン細胞を消滅させる」とか「努力でインフルエンザウイルスの感染を防ぐ」と同じくらいナンセンスな話であることも、ようやく肚の底から理解するに至りました。この連載のおかげです。
まあ、私が何を言いたいかというと、多分、私は、そのうちに、自分が主張してきたことを引っくり返すようなことをするだろう、ということです。
それは、再び、肥満体に戻っていたり、いつの間にか自死を選んだり、何かの間違いでTOEICで高得点を取ってしまったり ―― そういうことです。
しかし、そういうことがあったとしても、読者の皆さんには「あの野郎――!」と思った3秒後に、私と私の書いていたコラムのことはスッパリ忘れてほしい、と願っています(都合のよいお願いだと分かっていますが)。
でもまあ、これだけいろいろなこと言ってきたんですから、構わないから、江端を(社会的に"も")殺っちゃえ、と、批判されても、まあ仕方ないかな、とも思うんですけどね。実際に、エラそうに書いてきたのですから。
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