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» 2016年12月12日 11時30分 公開

物理シミュレーションで知る「飛び込みコスト」の異常な高さ世界を「数字」で回してみよう(37) 人身事故(8/11 ページ)

[江端智一,EE Times Japan]

成否を分ける「1.8秒」

 空中で衝突するためには、ホームから足が離れて、正確に0.2秒〜0.4秒後でなればならないからです。早くても遅くても、“最悪シナリオ”が待ち構えているからです(後述)。

 そのためには、あなたは、電車が目の前を通過する1.8秒前から動き出す必要があります。これが0.1秒でも狂うと、全く異なる結果になります。

 では、その「1.8秒前」とは、具体的には、いつのことでしょうか。

 答えは、電車が最もあなたの近くにやってくる約60m前になります。正確に言うと、54mから61mまでの7mの誤差が許されますが、約60mというのは、結構な距離です。

 上の図は、私が普段利用している駅の上空からの図なのですが、全長190mあります。

 私が、駅の終端に立って、飛び込む電車を待っている場合、正確に駅の3分の2を通過した時点で歩き始めなければなりません。

 事前に、何時何分の電車を使うかを決めておくことが望ましく、可能であれば、その60m地点に小旗などの目印を立てておくことをお勧めします。

 ただ、60mというのは結構な距離です。小旗くらいでは認識が難しいかと思います。

 実際の縮尺を計算して、60m先の電車がどのように見えるかを試算しました。次の図は、あなたと電車が空中衝突する時点の25m先の立ち位置から電車のサイズを比較したものです。

 素人(しろうと)が、バッテイングセンターで、100kmの速さのボールをバットに当てるのは、至難の技です。ましてや、そのバットの70倍以上の質量のある自分の肉体を、緻密な制御装置のようにピンポイントで電車にぶつけることが、いかに難しいかは、ご理解いただけると思います。

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