ルネサス エレクトロニクスは、産業ネットワーク用通信プロセッサ「RZ/Nシリーズ」として3製品を開発した。
ルネサス エレクトロニクスは2017年3月、産業ネットワーク用通信プロセッサ「RZ/Nシリーズ」として3製品を開発した。Industry4.0の実現に向けて、産業ネットワーク機器の開発を、より効率的に行うことができる。
RZ/Nシリーズは、独自のイーサネット通信用IPである「R-INエンジン」を搭載した。このR-INエンジンは、ネットワークのソフトウェア処理を効率よく実行するために開発されたもので、32ビットマイコン「ARM Cortex-M3」とリアルタイムOSアクセラレーターおよび、イーサネットアクセラレーターなどが統合されている。同シリーズは、このエンジンと5ポートのギガビットイーサネットスイッチを組み合わせた構成となっている。これにより、少ない消費電力で通信データのリアルタイム処理を行うことができる。その上、主要な産業ネットワークプロトコルや冗長ネットワークプロトコルにもワンチップで対応することが可能になるという
同社は開発したシステムを評価するためのソリューションキットも用意している。RZ/Nシリーズを搭載したCPUモジュールや周辺機能を実装したボードなどで構成される。汎用APIも提供しており、サードパーティー製のネットワークプロトコルスタックなどを効率よく組み込んで活用することができる。エコシステムを活用することで、産業ネットワーク機器の開発時間を最大50%短縮できた、という顧客の事例もあるという。
実際に、PORT、TMG Technologie und Engineering、CANNON-Automoata、Net Moduleなど、多くのパートナー企業からプロトコルスタックが提供されている。また、IAR Systems製コンパイラ「Embedded Workbench」やLinux、Wind River製の「VxWorks」、Express Logic製の「ThreadX」といった開発環境を利用することもできる。
製品はハイエンド向けの「RZ/NIDグループ」、ミッドレンジ向けの「RZ/NISグループ」およびローエンド向けの「RZ/NILグループ」を用意した。RZ/NIDグループは、アプリケーションCPUとして、動作周波数が500MHzのデュアルARM Cortex-A7を内蔵しており、ネットワークスイッチ機器やPLC、ゲートウェイ機器などの用途に向ける。
RZ/NISグループはアプリケーションCPUに、動作周波数が500MHzのシングルARM Cortex-A7を搭載した。ナノPLCやオペレーターターミナル装置などの用途に向ける。これに対してRZ/NILグループは、主に産業機器の通信部やリモートI/Oユニットなど、スレーブ機器向けにフォーカスした製品である。このため他のグループとは異なり、アプリケーションCPUは実装されていない。
発売時期は国や地域によって異なる。日本市場では2017年8月より順次、サンプル品および、ソリューションキットの出荷を始める予定である。
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