AppleがQualcommに特許料支払いの保留を通告したことを受け、Qualcommは2017年度第3四半期(4〜6月期)の業績見通しを下方修正した。
Qualcommは2017年4月28日(米国時間)、Appleが特許使用料の支払いを停止すると通告したことを受け、2017年度第3四半期(4〜6月期)の業績見通しを約5億米ドル下方修正することを明らかにした。これにより、QualcommがApple製品から受け取っている特許使用料が、1年間当たり20億米ドルという膨大な金額であることが明らかになった。デバイス1台当たりでは、約8米ドルとなる。
Qualcommは当初、2017年第3四半期の売上高を53億〜61億米ドルと見込んでいたが、今回それを48億〜56億米ドルに下方修正した。Qualcommは報道向け発表資料の中で、「Appleは、当社との特許使用料をめぐる争いが解決するまでの間、特許使用料の支払いを保留する考えのようだ」と述べている。
Appleは2017年1月、Qualcommに対して訴訟を起こし、「Qualcommはこれまで、法外な特許使用料の支払いを求めてきた」と主張している。Qualcommは2017年4月初めに対抗訴訟を申し立て、「当社はAppleに対し、特許に関する主張を差し控えるよう伝えている」と述べている。
AppleのiPhoneおよびiPadの年間出荷数量の動向から大まかに見積もったところ、AppleはQualcommに対し、デバイス1台当たり約8米ドルの特許使用料を支払っているとみられる。ある統計資料によると、AppleのiPhone販売台数は、2016年が2億1100万台以上、2015年が2億3100万台以上で、iPadの四半期出荷数量は2013年に、過去最高となる2600万台を記録したという。市場調査会社によれば、大半のiPadには、Qualcommの特許ポートフォリオの中の主要技術であるセルラー技術が搭載されていないとみられている。
Qualcommの顧問であるDon Rosenberg氏は、発表資料の中で、「Appleは、Qualcommとライセンシーとの間の長年にわたる契約合意に対し、不正に干渉している。当社は引き続き、自らのビジネスモデルを守り、保護する権利を追求するとともに、業界に対する当社の技術的貢献に見合う公正な評価を受けられるよう、積極的に取り組んでいく考えだ」と述べている。
両社の間で繰り広げられている訴訟は、氷山の一角にすぎない。2016年12月末には、韓国の規制当局がQualcommに対し、特許慣行が不公正であるとして、約10億米ドルの罰金支払い命令を課している。それから1カ月もたたないうちに、米連邦取引委員会(FTC)がQualcommを相手取り、同じ内容の訴訟を起こしている。
利益の大半を特許使用料から得ているQualcommは、これまでにも何度か今回のような訴訟を起こされている。韓国は2009年7月に、CDMA関連の特許慣行について調査を行った結果、Qualcommに対して約2億800万米ドルの罰金を科し、改善命令を出している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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