Texas Instruments(TI)は2017年10月19日、車載向け半導体事業戦略説明会を都内で開催し、自動車に必要とされるあらゆる半導体を網羅する品ぞろえを強みとして、事業規模の拡大を図っていくとした。
Texas Instruments(以下、TI)は2017年10月19日、車載向け半導体事業戦略に関する説明会を東京都内で開催し、アナログ半導体から組み込みプロセッサ、表示デバイスまでの車載半導体を網羅する多様な製品群を強みに、車載半導体市場でのシェア向上を狙う事業姿勢を強調した。
TIの車載向け事業規模は2016年、全社売上高(=133億7000万米ドル)の18%に相当する約24億米ドルとなった。2013年の車載向け事業規模は、約14億米ドルで全社売上比率も12%。ここ3年ほどで急速に事業規模を伸ばしてきた。
TIオートモーティブ・システムズのディレクタとして車載向け事業を統括するHeinz-Peter Beckemeyer氏は、売り上げ規模を拡大させた要因について「ADAS(先進運転支援システム)の拡大や電動化はもちろんのこと、ライティングでもLED化が進むなど、自動車での半導体ニーズが拡大してきた。そうした中で、TIは、車載市場のニーズを的確に予測し、車載向け製品の品ぞろえを増やし続けてきた。拡大する車載市場のニーズに応えてきたことが、売り上げ規模の拡大という結果につながっている」と分析する。
事業成長を後押ししてきた「品ぞろえ」の強化は現在も続ける。2016年には、2014年比2倍に相当する種類の車載向け新製品を投入し、車載認定半導体の品種数は約2000種に達した。研究開発についても、全社研究開発投資費の22%を車載向け技術に投じているという。
同時にTIは、品ぞろえを生かしたリファレンスデザイン提案を強化してきた。Beckemeyer氏は、「TIには各種センサーから、信号処理用のアナログ半導体、組み込みプロセッサ、有線無線通信用半導体、(デジタルミラーデバイスを用いた表示用デバイス製品である)DLP、そして電源ICと自動車に必要とされる半導体を網羅するラインアップを持つ。こうした製品を組み合わせることで包括的なリファレンスデザインを提供できる。リファレンスデザインは、自動車メーカーやティア1企業の開発負担を軽減し、自動車の進化を加速させるものであり、事業成長の一因となったことは確かだ」と語る。
今後のTI車載事業戦略の柱は、豊富な品ぞろえを基盤とした包括的なシステムレベル提案だ。加えて、包括的なシステムレベル提案を、クルマのあらゆる部分に対して提案する姿勢を打ち出す。Beckemeyer氏は「ADAS、車体制御、インフォテインメント、パワートレイン全ての領域で半導体需要は拡大する。TIには、これらの領域に必要とされる全ての半導体に関する技術がある。あらゆる車載半導体でシェアを向上を目指す」と語った。
TIは10月19日の会見に合わせて、新たなリファレンスデザインを発表した。なおTIの車載向けリファレンスデザイン数は100種以上を数えるという。
新たなリファレンスデザインは、車体制御などで使用される「マルチスイッチ検出インタフェース」。分圧抵抗と複数のスイッチで構成される多状態スイッチである抵抗コードスイッチと直接接続できるリファレンスデザインだ。複数の入力をモニターし、最大54個のスイッチ抵抗パスをデコードできるIC「TIC12400-Q1」を搭載する。これまで同様の機能は、ディスクリート部品で構成されるケースが多く、基板面積の縮小、消費電力の削減が見込める。日本テキサス・インスツルメンツでは「ディスクリート構成に比べシステムの消費電力を最大98%削減し、基板実装面積も60%縮小できる。日本の自動車メーカー、ティア1企業から多くの引き合いを得ているソリューションの1つだ」とした。
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