しかし、NVIDIAのAI戦略のバックボーンは、特定の1種類のSoC(System on Chip)ではない。むしろ、同社の「Drive PX」プラットフォームである。このプラットフォームは、自動運転車の開発向けに設計されたものだ。ディープラーニング、センサーフュージョン、サラウンドビジョンを備えている。同プラットフォーム上に構築されたソフトウェアスタックは、車両周辺で何が起こっているかをリアルタイムで把握し、高精細なマップ上での自己位置を正確に判断し、安全なルートを計画する。
VIS Labsの創設者で主任を務めるPhil Magney氏によれば、NVIDIAのDrive PXプラットフォームは、レベル4の自動運転車やロボタクシーを開発するメーカーにとって理想的だという。
NVIDIAの発表に合わせて、UberはAIを搭載した自動運転車や自動運転トラックを発表した。これらは既に、200万マイル(約321万km)を自動走行したという。NVIDIAのShapiro氏は、この200万マイルのうち100万マイルは、ここ100日間で走行したものだと話した。
NVIDIAはプレスカンファレンスで、Xavier上で動作する2つのソフトウェアプラットフォーム「Drive IX」「Drive AR」も発表した。Drive IXは、クルマに搭載されたセンサーを使って、運転手や同乗者向けにAIアシスタント機能を開発するものだ。UI(ユーザーインタフェース)やコックピット、さまざまなアシスタント機能を開発するのに適しているという。一方のDrive ARは、AR(拡張現実)向けの開発キットである。
最新のXavierについてShapiro氏は「2000人のエンジニアが開発に加わり、20億米ドルを投資した」と明かしている。NVIDIAは、完全な自動運転を行うロボタクシーにどれだけ高性能のAIコンピューティングシステムが必要になるかを、十分に理解しているようだ。
この最新のXavierは、NVIDIAのAIコンピューティングプラットフォーム「Pegasus」の主要部品になるとしている。Pegasusは2個のXavierと、2個の次世代GPUで構成されている。演算性能は320TOPS(Trillion Operations Per Second)とする。2018年半ばにサンプル出荷を開始する予定だ。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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