NVIDIAが米国カリフォルニア州サンノゼで開催した年次イベント「GTC」の基調講演では、NVIDIAが2018年秋に発表した最新プロセッサ向けの新たなシステムやソフトウェアが取り上げられた。一方で、期待されていた7nm GPUについての発表は行われなかった。
NVIDIAが米国カリフォルニア州サンノゼで開催した年次イベント「GTC」には、およそ8000人もの参加者が集まったが、期待されていた7nm GPUについての発表は行われなかった。
3時間近く行われた基調講演では、NVIDIAが2018年秋に発表した最新プロセッサ向けの新たなシステムやソフトウェアが取り上げられた。皮肉なことに、最も興味深く貴重なニュースは、同社史上最も安価なボードと、光相互接続に関する研究プロジェクトに関するものだった。
あるアナリストは「イベントの長さが内容に反比例している」と冗談を言っていた。
深層学習用アクセラレーター分野における競合他社に向けた、“暗黙のメッセージ”は明らかだ。NVIDIAがより高速な新型チップを事前に発表する必要はない。なぜなら、同社は既にそのソフトウェアスタックと販売チャネルを手にしているからだ。
確かに、あるデータセンター担当マネジャーは、機械学習のトレーニング向けの実用的なチップをサンプル出荷している競合先は、新興企業Graphcoreのみであると述べた。だが、Graphcoreは数年間にわたってNVIDIAのGPU上で動作してきたソフトウェアスタックに、自社のAIトレーニング向けチップを適合させるという、かなり労力のいる取り組みに直面している。
NVIDIAの優位性を際立たせようと、同社は「CUDA-X」という一つの新しい傘の下で、多くのライブラリを一つにまとめた。グラフィックスやAI(人工知能)向けバージョンを展開する予定だという。さらにNVIDIAは、同社製チップの新たなユースケースについても説明した。具体的には、オフラインレンダリング向けのクロスツール環境「Omniverse」と、クラウドゲームサービス「GeForce Now」の拡張について明らかにした。
GeForce Now向けとして、GPUを40基搭載した8Uサイズのブレードサーバ「RTX Server」も発表した。要求が多いデータセンター向けには、32のRTX Server上で1280基のGPUをInfinibandで接続したものとなっている。
NVIDIA CEOのJensen Huang氏は「データセンターのグラフィックスには、完全に新しいアーキテクチャが求められている」と述べ、NVIDIAがそれらのユースケースをさらに拡張しつつあることに言及した。
NVIDIAは、特にデータサイエンティストに向けたワークステーションを構成した。このシステムには、GPU「Quadro RTX-8000」が2基と、96Gバイトのフレームバッファが搭載されていることに加え、深層学習用ソフトウェアがインストールされている。
Huang氏は「高性能コンピューティングにおいて、データサイエンスは新たな課題となっている」と述べた上で、現在活躍している300万人のデータサイエンティストのうち1万人は、2018年にNVIDIAが育成した人材であると付け加えた。
「Tesla T4(以下、T4)」に関するニュースとしては、Cisco Systems、Dell EMC、HPE、Lenovo、Sugonなどが、T4を搭載する「NVIDIA NGC-Ready」の認証を受けたサーバを導入することも発表された。
クラウド領域では、AWS(Amazon Web Service)がGoogleとBaiduに続き、サービスベースのTuringチップに関する計画を発表した。Alibabaも後に続くとみられている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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