「3D XPointメモリ」について公式に発表された情報はあまり多くない。メモリセルアレイは2層の3次元クロスポイント構造であること、メモリセルは1個の記憶素子と1個のセレクタ(セル選択スイッチ)を積層した構造であること、シリコンダイの記憶容量は128Gビットであること、10年を超える歳月をかけて共同開発したこと、くらいである。現在に至るも、128Gビット・チップの要素技術が国際学会で本格的に発表されたことはない。
一方でシリコンダイを元素分析する技術を備えた調査会社TechInsigtsにより、IntelのHDDキャッシュ製品から取り出した128Gビット「3D XPointメモリ」チップの解析結果が2017年8月のフラッシュメモリサミット(FMS)で発表された。製造技術は20nmのCMOS技術と1層多結晶シリコン配線技術、5層金属配線技術(クロスポイントのワード線とビット線を除く)である。クロスポイント構造のメモリセルアレイは、第4層金属配線と第5層金属配線の間に作り込まれた。
「3D XPointメモリ」の概要。開発企業であるIntelとMicron Technologyが公式に発表した情報以外に、他社が分析した情報を含んでいる。出典:MKW Venture Consulting, LLCシリコンダイ面積は206.5mm2(16.16mm×12.78mm)とかなり大きく、メモリセル面積は0.0015μm2と小さい。メモリセルの記憶素子はPCM、セレクタはOTS(Ovonic Threshold Switch)であること、PCMの材料はGeSbTeSi(組成は0.12:0.29:0.54:0.05)、OTSの材料はSeAsGeSi(組成は0.44:0.29:0.10:0.17)であることも明らかになった。
(次回に続く)
次世代メモリの市場予測と3D XPointメモリの現状
「3D XPoint」、Intelは強気もMicronは手を引く?
「3D XPoint」は相変化メモリか――特許から詮索
次世代メモリ技術の最有力候補はPCMとMRAM、ReRAM
現行世代メモリと次世代メモリの違い
既存のメモリと次世代のメモリを比較するCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング