プリント回路基板製造技術の主流となった表面実装技術を置き換えるような将来技術は、まだ見えていない。部品内蔵基板技術や印刷回路形成技術などに期待する時期が過去にはあったものの、コストやスループット、製品対応などの点で表面実装技術にははるかに及ばない。このような事実から現在では代替技術とはならないことが、実装技術コミュニティーの共通認識となっている。
むしろ表面実装そのものがまだ不完全で人手を要する技術であることから、将来に向けて数多くの課題を解決していくことが望ましい。
実装技術ロードマップでは、実装設備が抱える課題を「ディフィカルトチャレンジ」としてまとめた。実装の品質と生産性、実装プロセスの革新について合計で16項目の課題を挙げた。そして2022年と2028年の開発状況を予測した。
2022年には課題となっておらず、2028年に課題として浮上している項目は2つある。1つは、信頼性向上のために部分的に加熱する、あるいは部分的に加熱しない(非加熱)技術だ。もう1つは、人手を必要としない完全自動実装ラインである。
2022年と2028年の両方で開発課題(開発途上)となっている項目は8つを数える。「インプロセスコントロール」「部品・基板の実態に柔軟に対応できる設備」「自己診断、自己修復」「革新的な部品供給部」(部品供給の高速化)、「検査データの無調整・完全自動作成」「リフローのフラックス回収完全自動化」「インクジェット塗布方式以外のマスクレス印刷方式」「多段実装、筐体実装が出来る生産ライン」である。
(次回に続く)
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