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自動車や航空宇宙でも活路を見いだすGaN技術次世代パワー半導体を担う(2/2 ページ)

» 2021年11月05日 11時30分 公開
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GaN-on-Si技術の課題

 最も広く使われているGaN-on-Si技術は、デバイス開発の面ではあまり評判がよくない。

 Björk氏は、「GaNとシリコンは格子定数が大きく異なるため、一致しない。シリコンの上にGaNを載せるには、かなり高度に異なる層を積層しなければならない。そうすると、多くの欠陥、有害な転位、損失、早期破壊が発生してしまう」と述べている。

 同氏はさらに、「もう1つの問題は、GaNとシリコンの熱膨張率の不一致だ。約1000℃まで成長させた後、この2つの材料を冷却すると、異なる速度で収縮し、構造が壊れてしまう」と付け加えた。

 「一方、オンボードチャージャーやDC-DCコンバーター、トラクション、補助インバーターなどの車載アプリケーションでは、GaN技術が活用されつつある」と、NexperiaのGaNアプリケーションディレクターであるJim Honea氏は述べる。「電気自動車(EV)用の大型バッテリーの開発により、過去には誰も想像していなかった多くのアプリケーションが生まれている」(同氏)

 NexperiaのDilder Chowdhury氏は、「Qrr(逆回復電荷)が低いことでフィルターの設計が容易になり、スイッチング性能が向上する」と述べる。また、GaNパワートランジスタは、一般的なゲート駆動回路と並行して使用することもできる。高電圧とスイッチング周波数は、特にシリコン技術者にとって最大の課題だ。

 EVメーカーが航続距離を伸ばすために、小型、軽量化と高効率化を両立させる方法として、GaNパワーICが注目されている。

 GaNは、Siベースのシステムと比較して、同等のエネルギー損失で4倍の小型、軽量化を実現するパワーエレクトロニクスシステムの設計に使用できる。逆回復がないため、バッテリーチャージャーやトラクションインバーターのスイッチングロスが減少するほか、スイッチングレートの高周波化、高速化などのメリットがある。

 さらに、スイッチのターンオン/ターンオフ損失の低減は、EVの充電器やインバーターなどのアプリケーションにおけるコンデンサー、インダクター、トランスの重量や体積の削減にもつながる。

 また、GaN技術の支持者は、WBG技術が電力変換設計者に効率と電力密度を向上させる新たな方法を提供する、と主張している。シリコンデバイスと同様に、単一のGaNデバイスの電流処理能力にはまだ上限がある。そこで、GaNデバイスを並列に実装する方法がとられる。

 Honea氏は、「GaNのサイズはスケーリング可能だ。GaNトランジスタを並列に並べることで、電力を大きくすることができる。しかし、並列にすると共振が増えてしまうので、共振を励起して増幅させないようにしなければならない」と述べている。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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