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Wolfspeed、SiC技術開発でGMとサプライヤー契約を締結EV駆動システムに採用

Wolfspeedは、GM(General Motors)の電気自動車(EV)向けSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの開発および提供に向けて同社と戦略的サプライヤー契約を締結した。

» 2021年12月02日 13時15分 公開

 Wolfspeedは、GM(General Motors)の電気自動車(EV)向けSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの開発および提供に向けて同社と戦略的サプライヤー契約を締結した。GMは、Wolfspeedの製品を、GMの次世代EV駆動システム「Ultium Drive」に採用する。本契約の一環として、GMはWolfspeedの「Assurance of Supply Program(WS AoSP)」に参加する。同プログラムは、EV生産のための国産で持続可能かつスケーラブルな材料の確保を目的とする。

WolfspeedのGuy Moxey氏

 Wolfspeedのパワー製品担当シニアディレクターを務めるGuy Moxey氏は米国EE Timesのインタビューの中で、SiCが製品技術と生産能力という2つの点で、いかにEV市場でのシェアを拡大しているかを説明した。

 Moxey氏は、「当社は独自技術を活用して、RDS(ON)(ドレイン・ソース間オン抵抗)の低減とダイサイズの大型化、パッケージングの電流容量の増加を継続的に進めている。SiCの需要拡大を見込み、3年程前から生産能力の拡張に向けた投資を本格的に開始し、米ノースカロライナ州にある材料施設の拡張と、ニューヨーク州北部のMohawk Valley工場の建設を進めてきた。Mohawk Valley工場は2022年前半に稼働予定で、世界最大規模の車載認定200mm SiCウエハーの製造施設となる。SiCの需要は今後数十年にわたって増加すると考えられるため、Mohawk Valley工場の完成後も生産能力の拡張を続ける必要がある」と述べている。

 Moxey氏は、「ウエハーサイズを大きくすることは、簡単なことではない。世界最大規模のSiC工場で200mmウエハーを製造できるようになるまでに、何年も研究開発を続けてきた」と述べる。「さらに、200mm SiC基板をほんの少し試作するのと、GMなどの企業に満足してもらえる品質および数量を確保するのとでは、非常に大きな違いがある」(同氏)

SiCパワー半導体がEVにもたらすメリット

 SiCは、e-モビリティアプリケーションのエネルギー管理における次のステップである。SiCパワー半導体が持つ特性は、電力密度と効率の面でシステムの冷却とサイズに大きなメリットをもたらす。

 SiCパワー半導体は、従来のシリコンよりも走行距離を伸ばし、バッテリーパックを小型化することができるため、デバイスレベルからシステムレベルまでのコストを削減できる。トラクションインバーターは近年、EVの効率と走行距離の向上を目指す際の改善のフォーカルポイントとなっている。

 現在、Si(シリコン)とSiCの大きなコスト差は、基板そのものにある。今後のコスト削減は、SiCがどれだけ早くEVに採用されるかがポイントになるだろう。SiCの経済効果が最も大きいのは、大型バッテリーを搭載したEVだからだ。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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