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Analog Devices、創業者のRay Stata氏が会長を退任後任はVincent Roche氏

Analog Devices(以下、ADI)は2022年1月19日(米国時間)、過去48年にわたり取締役会長を務めた創業者のRay Stata氏に代わって、プレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるVincent Roche氏を新しい会長に任命すると発表した。Stata氏は取締役として再選される予定だ。

» 2022年01月28日 09時30分 公開
[Stefani MunozEE Times]

 Analog Devices(以下、ADI)は2022年1月19日(米国時間)、過去48年にわたり取締役会長を務めた創業者のRay Stata氏に代わって、プレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるVincent Roche氏を新しい会長に任命すると発表した。Stata氏は取締役として再選される予定だ。

Analog Devices次期会長のVincent Roche氏

 同社によると、この変更は2022年の年次株主総会後に有効になるという。

 Stata氏はADIのプレスリリースで、「Roche氏は、社長兼CEOとしてADIの卓越したリーダーシップを示してきた。当社は顧客企業に向けてより完全で高性能なソリューションの開発を続けているが、今回の任命によって、ADIにおける彼のリーダーシップが強化されると確信している」と述べている。

Ray Stata氏とAnalog Devicesの歴史

 Ray Stata氏は、米マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)で電気工学の理学士号と理学修士号を取得した。そこでMatthew Lorber氏と出会い、2人は1965年にADIを設立する。

 Stata氏は1971〜1991年までADIのプレジデントを、1973〜1996年までCEOを務めた。1977年にはマサチューセッツ先端技術評議会(Massachusetts High Technology Council)を共同設立して初代プレジデントを務め、1987〜2005年まで競争力評議会(Council of Competitiveness)の執行委員を務めた。

 Stata氏とLorber氏の両氏は、電気信号の増幅と調整を改善する高性能オペアンプを開発するというビジョンを持っていた。ADIは創業と同じ年に、機器のテストおよび測定向けに、同社初の製品となるモデル101オペアンプを発売した。初めての製品の発売直後から売り上げを伸ばし、最初の3年間で570万米ドル(現在の約4500万米ドル相当)を売り上げた。

 こうした短期間での成功を受け、ADIは1969年に株式公開を決定し、その10年後にニューヨーク証券取引所に正式に上場した。新規株式公開と同じ年に、初めての買収を実施し、圧力や温度など、現実世界で発生する事象をデジタル形式に変換できる回路基板やモジュールの開発を手掛けるPastoriza Researchを取得した。

Analog Devices創業者のRay Stata氏とMatthew Lorber氏 出所:Analog Devices

 ADIは、宇宙探査や航空宇宙など、幅広い分野で技術の進歩を続け、レーザートリムウエハー技術やオペアンプ「AD506」、CMOSデジタルアナログコンバーター「AD7520」など、1970年代を通じていくつかの業界初製品を発表した。

 1980年代には、ADIの半導体業界での存在感が増し、その頃、ADIによれば、デジタルアナログコンバーター「AD558」をマイクロプロセッサと簡単に統合できるように設計し、性能と汎用性を向上させたという。また、12ビットA-DコンバーターICの「AD574」や、半導体自動テスト装置向けの特殊デバイス「AD345」も、業界初となる製品として開発した。

 ADIは、さまざまな技術分野でイノベーションを続ける一方で、買収も続けた。1990年には、Precision Monolithicsを買収し、シリコンバレーにおけるADIの存在感を確固たるものにしたといわれている。ADIはこの買収により、高性能アナログICの分野を拡大することができたとしている。

 2000年代初期から中期にかけては、センサー技術への関心が高まっており、ADIもその影響を受けなかったわけではない。2002年、ADIは1億個目の「iMEMS」加速度センサーを出荷し、最初のMEMSジャイロスコープをリリースした。

 同社は、「これらの革新的な技術は、自動車のエアバッグの信頼性から、任天堂「Wii」などのビデオゲームの没入感まで、あらゆるものを変えた」と述べている。

 ADIは、そのセンサー技術を生かし、燃費と排ガス制御をよりよくモニターするため自動車用に特別に設計されたA2B製品などのICを生産し続けた。また、加速度センサーやジャイロスコープ、RFおよびDSP技術も手掛け、自動車のレーダーと視覚機能を強化することで事故を減少させた。

 今日、ADIはその勢いをさらに強めている。同社は2020年、自動車、産業、コンピュータなど複数の業界向けにアナログおよびミックスシグナル集積回路を設計、製造、販売するMaxim Integratedを買収した。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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