SSS車載事業部で車載向けCMOSイメージセンサーの商品企画、欧米ビジネスマネジメントを統括する薊純一郎氏は、同社車載事業の歴史と展望を語った。
薊氏は、車載事業の創業メンバーの一人で、車載事業部設立前の2013年頃から、商品化に向け開発を進めるプロジェクトリーダーとして参画。開発の指揮を執るのと並行し、日米欧の顧客への売り込みも進めてきたという。同氏は、「当初、屋外で長時間撮像するセキュリティカメラ向けイメージセンサーと似たような仕様を車載向けにも展開することを考えていた」と説明していた。
同氏は、当初の状況について、「『多くの顧客から、ソニーのようなコンシューマー向け企業が本当に車載をやる気があるのか』という目で見られた。会議室も用意いただけず、プロジェクターもない廊下で自分のノートPCを見せながらプレゼンすることも多々あった」と振り返る。
そうした厳しい状況下でも、「顧客の声を直接聞く中で少しずつ見えてきたのが『どうもセキュリティカメラ向けセンサーと車載向けセンサーとでは、求められていることが違う』ということだった」と説明。具体的には、車載カメラでは、全てのフレームでLED標識や周囲の車のLEDヘッドライト、ブレーキランプを正確に認識しながら、トンネルの出入り口などの明暗差が大きな環境でも黒つぶれや白飛びなく撮像する性能が求められるという知見が得られたとし、「このVOC(顧客の声)を基に、エンジニアとけんけんごうごうした結果生み出されたのが、独自の『サブピクセル』という画素構造で、高ダイナミックレンジとLEDフリッカー抑制を同時に実現した」と語った。
こうして完成した製品のデモを行ったあたりから「顧客のソニーに対する見方が大きく変わった」といい、同氏は、「会議室に通されるようになり、飲み物をいただけたときには、ようやく認めてもらえたと感動した」と述べていた。そして、2016年には車載事業部を発足。欧米にも海外販社が立ち上がり、「軌道に乗ってきている」という。現在、同社では、サブピクセルアーキテクチャの第2世代品を量産しており、第3世代品の開発が進んでいる段階だという。
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