立命館大学は、京都大学や慶應義塾大学、近畿大学、愛媛大学、JSRと共同で、双極子を有するπ電子系カチオンを同種電荷種間で積層し、集合化形態に起因する物性の変調や、半導体特性の発現が可能であることを解明した。
立命館大学生命科学部の前田大光教授と同大学総合科学技術研究機構の山角和久専門研究員らによる研究チームは2023年1月、京都大学や慶應義塾大学、近畿大学、愛媛大学、JSRと共同で、双極子を有するπ電子系カチオンを同種電荷種間で積層し、集合化形態に起因する物性の変調や、半導体特性の発現が可能であることを解明したと発表した。
π電子系の集合化形態を制御することは、半導体や強誘電体といった機能性材料の開発において重要となる。研究チームはこれまで、荷電π電子系を研究対象として、規則配列構造の構築や電子・光物性の発現などに取り組んできた。荷電π電子系間には著しい静電力が働き、集合化挙動に大きく影響するという。
多くの場合、異種電荷種が交互に並んだ「電荷積層型集合体」を形成する。相反する電荷をもつπ電子系がそれぞれ独立に積層した「電荷種分離配置型集合体」を形成するには、静電反発を抑える必要があるため、その報告例は少ないという。
今回の研究では、同種電荷を有する荷電π電子系が積層した集合体の形成を目指し、双極子を有する「π電子系カチオン」とさまざまな「対アニオン」からなるイオンペア集合体を作り出すことに成功した。中でも、π電子系アニオンとのイオンペアでは、π平面に対して垂直方向に積層し、π電子系カチオンとπ電子系アニオンがそれぞれ独立にカラム状構造に配置された電荷種分離配置型集合体を形成することに成功、半導体の特性を示すことも確認した。
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