京都大学と日新システムズは、国際無線通信規格「Wi-SUN FAN」対応の無線機1000台を用いた自律通信試験に成功した。通信制御パラメーターを最適化すれば、数千万台規模のシステムを構成することも可能だという。
京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授らによる研究グループと日新システムズは2023年2月、国際無線通信規格「Wi-SUN FAN」対応の無線機1000台を用いた自律通信試験に成功したと発表した。通信制御パラメーターを最適化すれば、数千万台規模のシステムを構成することも可能だという。
京都大学と日新システムズは、2019年1月にWi-SUN FAN搭載の認証済み無線機を開発した。2021年11月にはマルチホップ接続により、多数の無線機から送信される情報を1つの基幹無線機に集約して収集する試験機を用い、機器500台を接続するための各種要素技術を開発、高品質な通信を実現した。その後は、1000台のネットワーク構成が求められる次世代スマートメーターへの導入に向けて、新たな研究開発を続けてきた。
今回取り組んだ研究テーマは大きく2つある。1つは、「Wi-SUN FANの通信制御に関する各種パラメーターの最適値について」。もう1つは、「1000台の無線機を収容するシングルボードコンピュータ対応無線機へ、Wi-SUN FANプロトコルスタックを移植すること」である。
研究の成果を搭載したWi-SUN FAN無線機1000台を用いて、マルチホップメッシュネットワークを構築し、大規模な通信試験を行った。この結果、データ通信成功率は累計で99.9%以上となり、実用レベルの性能が得られることを確認した。
今回の実証実験で用いたプロトコルスタックは、通信制御パラメーターの値を容易に変更することができる。このため、1000台規模のネットワークが複数存在し、数千万台規模となる大規模なシステム構成だけでなく、大容量のデータ通信が必要となる用途などにも、柔軟に対応することができるという。
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