今回は、キオクシアの2022会計年度(2022年4月〜2023年3月期)の連結決算を分析する。
フラッシュメモリ大手キオクシアの持ち株会社であるキオクシアホールディングスは2023年5月12日に2022会計年度(2022年4月〜2023年3月期)の連結決算を公表した。キオクシアホールディングスとキオクシアは、東芝がフラッシュメモリ事業を2018年6月1日に投資ファンドなどに売却することによって誕生した。2019年10月1日には会社名を「キオクシア」に変更した。なお現在も東芝は、キオクシアホールディングスの株式の約40%を所有する最大株主である。ただし、東芝はキオクシアグループの経営と執行には一切関わっていないので留意されたい。
2022会計年度の売上高は前年比16%減の1兆2821億円である。同年度後半(2022年10月以降)にフラッシュメモリの需要が減退し、ユーザーが在庫調整を進めたために出荷数量が減少した。同時に需給バランスが大幅に緩和し、販売単価が急激に低下した。このため、売上高が急速に減少するとともに収支が著しく悪化した。
2022会計年度の営業損益は赤字で、990億円の営業損失を計上した。前年度は黒字で2162億円の営業利益を出していたので、3152億円と巨額の減益となった。通年業績が赤字となるのは、前回のメモリ不況期である2019会計年度(2020年3月期)以来である。
2022会計年度(2022年4月〜2023年3月期)の業績を四半期別に見ると、前半と後半で様相が大きく異なる。前半(第1四半期と第2四半期)は売上高が前年同期とそれほど変わらず、営業利益率は20%を超えており、好調といえる。
ところが後半(第3四半期と第4四半期)は売上高が前年同期に比べて30%減〜37%減と大きく低下した。特に第2四半期から第3四半期の業績悪化はすさまじい。4000億円近くあった売上高が、3000億円弱と約1100億円も急減したのだ。当然ながら、営業収支は一気に大幅赤字へと転落した。しかも第4四半期は第3四半期と比べて赤字が大幅に拡大しており、回復の兆しが見えていない。
キオクシアホールディングスが2023年5月12日に公表した業績資料によると、需給バランスは2023年(暦年)の後半に向けて徐々に良くなると期待する。PCとスマートフォン向けは顧客による在庫水準が適正値に戻ること、新製品では搭載フラッシュメモリの記憶容量が拡大すること、新製品の投入によって販売台数が増加すること、などを理由に挙げた。ただしエンタープライズ向けはSSDの需要が減少しており、回復の時期はまだ見えていない。
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