Infineon Technologiesが、韓国SK Siltronの子会社でSiCウエハー製造を手掛けるSK Siltron CSSと長期供給契約を締結した。サプライヤーの多角化を進めることで、SiCパワー半導体のサプライチェーンのレジリエンスを強化する狙いだ。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2024年1月10日(ドイツ時間)、韓国SK Siltronの子会社でSiC(炭化ケイ素)ウエハー製造を手掛けるSK Siltron CSSと長期供給契約を締結したと発表した。サプライヤーの多角化を進めることで、SiCパワー半導体のサプライチェーンのレジリエンスを強化する狙いだ。
この契約に基づきSK Siltron CSSは、Infineonに150mm SiCウエハーを提供する。また、さらにその後のフェーズとして「SK Siltron CSSは、Infineonの200mmウエハーへの移行をサポートする重要な役割を果たすことになる」(Infineon)としている。
InfineonはSiCウエハーのサプライヤーの多角化戦略を進めていてCree(現Wolfspeed)やSiC結晶を手掛けるGT Advanced Technologies(onsemiが買収)らとの供給契約を結んできた。最近では2022年8月に米国II-VI Incorporated(現Coherent)、2023年1月(2021年5月の契約を補完/拡大)にレゾナック(旧:昭和電工)、2023年5月には中国のSiCサプライヤーSICCおよびTanKeBlueと、それぞれSiCウエハーなどの供給契約を締結したことを発表している。
InfineonのCPC(最高調達責任者)であるAngelique van der Burg氏は「当社にとって、サプライチェーンのレジリエンスは、新たな成長機会を創出し脱炭素化を推進するために、マルチサプライヤー戦略を実施し、厳しい時にこそ成長することだ。SK Siltron CSSと提携し、SiC市場の最高水準に適合するエネルギー効率に優れた新製品を提供することで、当社の幅広い顧客基盤のSiC需要の拡大に貢献できる」などとコメントしている。
SK Siltronは1983年に設立され、2017年にSK Holdingsが韓国LGから買収した(旧名称はLG Siltron)韓国の唯一の半導体ウエハーメーカーだ。シリコンウエハー市場では、信越化学工業とSUMCOが合わせて約50%台のシェアを占めるが、SK Siltronも10%台のシェアを有してトップ5に入る主要企業の1社である。SK Siltronは2020年2月に、米国の化学メーカーDuPontからSiCウエハー開発/製造部門を4億5000万米ドルで買収し、米国子会社SK Siltron CSSとして、SiCウエハー市場に参入した。
SK Siltronは、2025年までにSiC市場において2021年比で10倍の生産能力および、25%のシェアを達成することを目指し投資を強化している。同社は2021年7月には3年間で3億米ドルを投じて米国ミシガン州において製造および研究開発能力を強化すると発表していて、2022年9月には新製造施設のテープカットを行っている。同社によると、この投資によって製造能力は数年で従来比4倍になるという。SK Siltronはさらに、韓国亀尾市の工場でSiCウエハーの直接受託生産を行うことを決定し、SiCウエハー製造プロセスの設備を構築している。
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