Seagateは製品別の収支を、「HDD製品」と「その他(SSDやシステム・ソリューションなど)製品」に大別している。売り上げのほとんどを占めるのは「HDD製品」である。「HDD製品」は「大容量品(マスキャパシティ品)」と「既存品(レガシー品)」の2つに分けて説明している。
「大容量品(マスキャパシティ品)」には、ニアラインHDD、画像データ(VIA:video and image applications)用HDD、NAS(Network Attached Storage)などが含まれる。「既存品(レガシー品)」には、ミッションクリチカルHDD、デスクトップPC用HDD、ノートPC用HDD、デジタルビデオ録画用HDD、ゲームコンソール用HDDなどの製品がある。
これらの製品分類別市況で比較的好調だったのは前期と同様に「大容量品(マスキャパシティ品)」のニアラインHDDである。米国と中国でクラウド向けの需要が強い。前期に好調だったVIA用HDDは季節要因によって売り上げが低下した。クラウド向けニアラインHDDの売り上げは、VIA用の落ち込みを補ってなお伸びている。
製品開発では、熱アシスト磁気記録(HAMR)技術を採用した30TBを超える大容量HDD製品が顧客(非クラウド)からの認証を獲得した。6月末までには別の顧客(クラウド)による認証も取得できる見込みだ。
HAMR技術で40TBを超える次世代の大容量HDD製品は、試作品が動作した。2025年(暦年)の下半期には出荷を始めると期待する。また次々世代となるHAMR技術の50TBを超えるHDDの検討を開始した。
従来技術では、垂直磁気記録(PMR)方式の24TB品と瓦書き磁気記録(SMR)方式の28TB品が複数の顧客(1社はエンタープライズの大手)による認証を得た。量産の開始は2025会計年度(2024年7月以降)の始めになるもよう。
製品分類別の売上高では、「HDD製品」が前期比7%増、前年同期比8%減の14億7700万米ドルとなった。その中で「大容量品(マスキャパシティ品)」の売上高が前期比11%増の11億8000万米ドルと2桁成長した。ただし前年同期比は4%減でまだ低い水準にある。HDD製品の売上高に占めるマスキャパシティ品の割合は80%で、前期の77%から3ポイント上昇した。
「既存品(レガシー品)」の売上高は前期比8%減、前年同期比20%減とふるわない。金額は2億9700万米ドルである。「その他(SSDやシステム・ソリューションなど)製品」の売上高は前期比4%増、前年同期比30%減の1億7800万米ドルである。
総出荷記憶容量では、HDD製品全体が前期比4%増、前年同期比16%減の99.1EB(エクサバイト:1018バイト)となった。総出荷記憶容量のほとんどを占める「大容量品(マスキャパシティ品)」は前期比6%増、前年同期比15%減の88.5EBである。マスキャパシティ品の大半を占めるニアラインHDDは前期比10%増、前年同期比17%減の71.7EBとなった。出荷容量ベースでは、ニアラインHDDの成長がHDD全体の成長を牽引していることが分かる。既存品(レガシー品)は前期比11%減、前年同期比28%減の10.6EBに縮んだ。
ドライブ1台当たりの平均記憶容量は、HDD全体が前期比6%増、前年同期比7%増の8.7TB(テラバイト:1012バイト)である。大容量品(マスキャパシティ品)は前の四半期から5%増加して12.5TBとなった。3四半期連続で前の四半期を上回った。ただし、前年同期比では4%減少した。既存品(レガシー品)の平均記憶容量は前期比5%減、前年同期比11%増の2.5TBである。
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