Armのエグゼクティブバイスプレジデント、チーフアーキテクト兼フェローであるRichard Grisenthwaite氏は、最近のブログ投稿の中で、同社のチップレット設計の青写真に関するヒントをいくつか提供している。まず同社は、複数サプライヤー間でPHY IPやソフトIPなどのコンポーネントの再利用を推進すべく、「Arm Chiplet System Architecture(CSA)」イニシアチブを立ち上げた。
このイニシアチブは、20社以上のパートナーで構成され、チップレットベースのシステム向けに最適なパーティショニングの選択肢を分析、定義する。また、さまざまな種類のチップレット向けに、システム設計選択のより優れた標準化を実現するための新たな方法を模索していく。
Armは、チップレット設計のためのオンチップ/オフチップインタフェース向けに、AMBA仕様をアップデートしている。AXIやCHIなどのArmのAMBA仕様は、これまで数十億個規模の半導体デバイスで使用されてきた。
さらにArmは、パッケージ内部のチップレット間でデータ伝送を行うための物理層(PHY:Physical Layer)を定義するUCIeのような、業界標準を策定する取り組みにも積極的に参加している。AMBAなどのSoCインターコネクトプロトコルをチップレット設計に取り入れるだけでなく、PCIeやCXLのような業界標準を採用し、十分に定義された周辺機器をマザーボード全体からパッケージに集約するための取り組みにも携わっている。
その他、チップレットのパーティショニングにおけるさまざまな非差異化の選択肢に関して連携を取るための取り組みの一環として、AMBAプロトコルを使用したArmベースのシステム向けに、SoCをチップレットにディスアグリゲーション(分離)する方法を模索している。このようなイニシアチブは、チップレットベースのシステムに向けた設計実現を推進していくことを目指している。
ArmのAMBA/CSA分野に対する投資から、同社がArmベースのシステムを複数のチップレットに分解しようとしていることが分かる。再利用性(reusability)は、好調なチップレット市場において新たな興味深い可能性を生み出すことができるため、非常に重要なことである。Alphawave SemiのようなコネクティビティIPの専門企業との協業は、チップレットのパーティショニングを合理化するための取り組みの一環といえるだろう。
それでも、共通フレームワークを実現する標準規格は、実行可能なチップレットソリューションを生み出す上で重要な役割を果たすことになる。このためArmは、UCIeやその他の標準化関連の分野に積極的に取り組んでいるのだ。同社独自のイニシアチブであるCSAは、断片化を低減する上で最も価値のあるパーティショニング手法についてコンセンサスを形成することを目指している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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