22nmとRRAMを活用、パワー制御システム用RISC-Vマイコン:サンケン電気が開発
サンケン電気は、TSMCの22nm超低リーク(22ULL)プロセスとRRAM(抵抗性ランダムアクセスメモリ)技術を活用し、RISC-V CPUコア内蔵の「パワー制御システム向けMCU」を共同開発した。2025年第4四半期(10〜12月)より量産を始める。
サンケン電気は2025年2月、TSMCの22nm超低リーク(22ULL)プロセスと抵抗性ランダムアクセスメモリ(RRAM)技術を活用し、RISC-V CPUコア内蔵の「パワー制御システム向けMCU」を共同開発したと発表した。2025年第4四半期(10〜12月)より量産を始める。
サンケン電気とTSMCはこれまで、MCU搭載のパワーエレクトロニクス制御デバイスの開発および量産に取り組んできた。開発したMCUは、異なるタイプのCPUコアを複数個搭載した製品。浮動小数点命令をサポートするRISC-V CPUコアや、独自の浮動小数点DSPコア、低遅延タスクの切り替えが可能な独自のEPU(Event Processing Unit)コアなどを集積している。これによって、さまざまなパワー制御アルゴリズムを高速に処理することが可能となった。
また、高解像度のPWMタイマーや高速A-Dコンバーターといった周辺機能も搭載している。さらに、RRAM技術を採用したことで、アプリケーション層における不揮発データの管理を柔軟かつ容易に行うことができるという。
サンケン電気の上級執行役員で技術開発本部長を務める福田光伸氏は、「TSMCの22ULLプロセスやRRAM技術および、優れた製造能力を活用することで、省電力かつ高性能、高機能なMCUを、最適化されたチップサイズで設計、製造することができる」とコメントした。
CHIPS法の成功事例となるか パワー半導体ファウンドリーを目指すPolar
米CHIPS法による助成金を最初に獲得した企業で、サンケン電気の米国子会社でもあるPolar Semiconductorは、より幅広い顧客向けにパワー半導体を製造する商業ファンドリーへと転換しようとしている。半導体製造の自国回帰を進める米国にとって、Polarの戦略が成功するか否かは重要な指標になりそうだ。
白物家電を小型化 高圧3相モーター用ドライバー
サンケン電気は、定格電圧600V/定格電流20Aの高圧3相モーター用ドライバー「SIM2-202B」を開発、量産を始めた。エアコンなどインバーター制御を行う白物家電製品の小型化や高効率化、高品質化が可能となる。
PFCとLLCを1個のICで制御、周辺部品21個が不要に
サンケン電気は2024年7月、PFC(力率改善回路)制御機能を内蔵したLLC電流共振電源用制御IC「SSC4S911」の量産を開始したと発表した。PFC部とLLC部を1つのICで制御でき、別個のICで制御する場合に比べ21個の部品を削減できるという。
PWM型スイッチング電源用のパワーICを開発
サンケン電気は、スーパージャンクションMOSFET(SJ-MOSFET)と電流モード型PWM制御ICを1パッケージに集積したPWM型スイッチング電源用パワーIC「STR3W400MXDシリーズ」を開発、その第1弾として「STR3W424MXD」の量産を始めた。
25年のファウンドリー業界は20%成長 TSMCの最先端ノードは90%稼働
市場調査会社のCounterpoint Researchによると、2025年の半導体ファウンドリー業界の成長率は20%に達する見込みだという。主にTSMCや、AIの波に乗った小規模なライバル企業がけん引役だ。
TSMC、25年から年平均20%成長へ 24年Q4は57%増益
TSMCは2024年第4四半期の業績を発表した。売上高は8684億6000万ニュー台湾ドル(約4兆1400億円/269億米ドル)で、前年同期比38.8%増、前四半期比14.3%増だった。純利益は3746億8000万ニュー台湾ドル(約1兆7900億円/114億米ドル)で、前年同期比57.0%増、前四半期比15.2%増だった。売上総利益率は59.0%、営業利益率は49.0%だった。
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