開発中のにおいセンサーも初めて展示した。においとは単一のガスではなくさまざまな分子が複雑に混ざり合ったものなので数値化やデジタル化が難しく、「五感代替技術のラストフロンティアとも呼ばれている」(説明員)というが、村田製作所は同社が得意とするセラミック技術によってにおいセンサーの開発を進めている。
村田製作所のにおいセンサーは、12種類のガスセンサーを内蔵している。任意のにおいに対してそれぞれが異なる応答をするもので、そのデータを機械学習モデルに入力することでどのようなにおいか解析する。動物の鼻と脳の働きをそのまま置き換えたといえる。
同センサーは、微量のにおいにも素早く反応できることが特徴だ。現時点でアルコールや揮発性有機化合物(VOC)、口臭や口腔内疾患を検知できる。麻薬探知や地雷探査といったイヌの嗅覚に相当するアプリケーションにはまだ対応していないが、将来的な対応を目指して開発を進めているという。
ブースでは、瓶に詰めた茶葉のにおいをデモ機で解析する様子を紹介した。茶葉の瓶は量が多いものと少ないものを用意。実際ににおいを嗅いでみると量が少ない方は紅茶のにおいを感じなかったが、デモ機では解析できていた。
用途としては、口臭や生体ガスなどのにおいによる健康管理、設備異常や火災の早期発見、人による官能試験のデジタル化などを想定し、2030年以降の実用化を目指している。
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