サトーは、ミクロンサイズの銅粉を用いたペーストと製造プロセスを開発し、RF IDアンテナを印刷方式で作製することに成功した。アルミや銀を用いる従来方式に比べ、高い導電性や品質の安定性を実現しつつ、製造コストの削減を可能にした。
サトーは2025年11月、ミクロンサイズの銅粉を用いたペーストと製造プロセスを開発し、RF IDアンテナを印刷方式で作製することに成功したと発表した。アルミや銀を用いる従来方式に比べ、高い導電性や品質の安定性を実現しつつ、製造コストの削減を可能にした。
RF IDアンテナは、ICタグなどに搭載することで、情報の送受信を電波で行うことができる。従来の製造方法は、アルミ箔を溶かしてアンテナを形成するエッチングや打ち抜き、レーザー加工などが一般的だった。ただ、この方法だと素材ロスが多いなど課題もあった。
RF IDメーカー各社は近年、導電性の高い配線を印刷方法で形成するフレキシブルハイブリッドエレクトロニクス(FHE)技術を活用したアンテナ製造に取り組んでいる。こうした中でサトーは、独自の焼結工程により特殊な環境を必要とせず、酸化した銅粒子同士を密接に結合させることに成功した。この方式で製造したアンテナは、純金属に迫る高い導電性が得られるという。
「焼結アンテナと基材の密着性」という課題についても解決した。これにより、紙やPETフィルムといった基材にも適用できる。電子デバイスの量産に用いられるロールツーロール方式にも対応した。
サトーは今後、2026年の量産開始に向けて量産試作と生産ラインの立ち上げに取り組み、RF ID製品としての実用化を目指す。さまざまな電子機器分野での応用を視野に入れ、他企業との協業も視野に入れている。
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