TDKは2025年12月9日、車載電源用の小型パワーインダクター「BCL3520FT-D」シリーズの開発を発表した。独自の高透磁率金属磁性材料や平角銅線などで、市場の同等品と比較して「業界最高水準」(同社)の電気特性を実現したという。
TDKは2025年12月9日、車載電源用の小型パワーインダクター「BCL3520FT-D」シリーズの開発を発表した。外形寸法は3.3×3.5×2.0mmで、このサイズのパワーインダクターとして「業界最高水準の電気特性」(同社)を実現したという。
近年、自動車の多機能、高機能化に伴い、電子制御ユニット(ECU)の搭載数も増加している。そのため各種モジュールは小型化、大電流化のニーズが高まっていて、電源回路のパワーインダクターにも、小型で大電流、かつ低抵抗であることが求められる。
BCL3520FT-Dシリーズでは、独自技術によって錆耐性や絶縁性能を付与した高透磁率金属磁性材料を採用。大電流を実現しつつ、コイルの巻き数を減らし電気抵抗の低減に寄与する。
コイルに用いる銅線の断面積が大きいほど、電気抵抗も低くなる。つまり、コイルを内部スペースに無駄なく敷き詰めることが電気抵抗の低減につながる。TDKは平角銅線を用いることで、少ない巻き数のまま無駄なく敷き詰め、低抵抗を実現した。
TDKによると「競合他社の同サイズ、同インダクタンス品と比較して、電気抵抗は15%、定格電流は28%の良化を実現した。TDKの既存の同等特性品よりも小型化を実現している」という。
高耐熱の絶縁膜を適用し、-55〜+155℃の保証温度を実現。車載に耐える高信頼性も獲得したとする。
生産は鶴岡東工場(山形県鶴岡市)で行う。ラインアップはインダクタンス値0.15、0.30、0.47、0.75、1.0、1.5、2,2μHの7種類で、うち0.47μH品の提供を開始している。残りの製品も2026年3月までに提供開始予定だとする。
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