SK hynixがHBM4のロジックダイでTSMCと手を組んでいるのに対し、Samsungは、自社ファウンドリーの4nm世代プロセスノードでロジックダイを製造し、3次元(3D)パッケージングも全て社内で行っている。これによりSamsungは、シリコンから最終的なパッケージングまでスタック全体を制御可能なターンキーソリューションを提供する、唯一のHBM4サプライヤーとなっている。
さらにSamsungは、SK hynixが既存のMR-MUF技術を適用して16層HBM4を製造しているのとは異なり、ハイブリッドボンディングで急成長を遂げている。ハイブリッドボンディングは、既存のマイクロバンプを使用せずに銅電極を直接接合するプロセスであり、スタックの高さを大幅に縮小し、放熱も改善できることから、業界では次世代製造の課題に対応する長期的な解決策になると考えられている。
しかし、Samsungの関係筋によると、HBM4分野における同社の最も注目すべき飛躍は、エネルギー効率の大幅な向上を実現する1c世代のDRAMプロセス技術を採用したことだという。データセンター事業者は現在も、1000Wを超えるGPUの熱需要に苦戦していることから、これは非常に重要なアドバンテージとなる。TrendForceによれば、Samsungは既にこの1c DRAMの製造を開始しており、同社の量産目標である歩留まり80%をほぼ達成しつつあるという。
Samsungは、NVIDIAのRubin AIアクセラレーター向けにサンプル出荷を開始していて、SK hynixとMicronよりも先に採用される可能性が高いとされる一方で、既にGoogleの最新世代TPUに向けたBroadcomのSiP(System-in-Package)テストを通過したという。こうしたことからSamsungは、ここ数年間はSK hynixに後れを取っていたものの、今やHBM3eでの敗北から復活しつつあるといえる。
3大HBMメーカーの1社であるMicronも、NVIDIAのRubin AIアクセラレーター向けHBM4仕様に準拠しており、最終顧客向けにサンプルを提供している。米国アイダホ州ボイシに拠点を置くMicronは、2048ビットインタフェースを搭載する36GBの12層HBMデバイス向けに、生産能力を積極的に拡大しているところだ。2026年末までに、HBM4の製造専用として、ウエハー生産能力1万5000枚の達成を目指すという。
一方、業界レポートによると、NVIDIAは2025年第3四半期に、同社のRubin GPU向けのHBM4仕様を修正し、ピン当たりの速度要件を11ギガビット/秒(Gbps)以上に引き上げたという。そのためMicronとSamsung、SK hynixは、HBM4のサンプルを再提出しており、NVIDIAの厳格化する要件に対応すべく、引き続き設計を改善していくという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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