TSMC傘下の台湾ファウンドリー企業Vanguard International Semiconductorが、TSMCと650Vおよび80V窒化ガリウム(GaN)技術に関するライセンス契約を締結した。開発は2026年初頭に開始し、2028年上半期に生産開始する予定だ。
TSMC傘下の台湾ファウンドリー企業Vanguard International Semiconductor(以下、VIS)は2026年1月28日(台湾時間)、TSMCと650Vおよび80V窒化ガリウム(GaN)技術に関するライセンス契約を締結したと発表した。開発は2026年初頭に開始し、2028年上半期に生産開始する予定だ。
VISはTSMCが筆頭株主となっている台湾のファウンドリーで、台湾とシンガポールに5つの8インチファブを保有。2025年の月産能力は約28万6000枚規模という。同社はGaN分野では、米国Qromisが開発したGaN成長専用の複合材料基板であるQST基板を用いる「GaN-on-QST」プラットフォームを展開し、8インチラインで製造している。今回のTSMCとの契約によってVISは650Vおよび80Vの「GaN-on-シリコン(Si)」技術も提供可能になる。これによって同社は「Si基板とQST基板の両方でパワーGaN技術を提供できる世界で唯一のファウンドリーになる」とうたっている。
広い温度範囲にわたってGaNと熱膨張係数が同等なQST基板は、熱応力を抑制できるため厚いGaN膜の成長が容易で、1200V級の高電圧デバイス実現に向けた基盤技術の1つとされている。VISは今回の契約によって技術ロードマップを強化。15Vから1200Vまでを網羅する包括的なパワーGaN技術ポートフォリオを構築し、顧客により柔軟で競争力のある選択肢を提供する方針で、「データセンター、自動車電子機器、産業用制御、エネルギー管理など、高効率電力変換が求められる主要分野向け次世代GaNパワー技術の開発/拡大を加速する」としている。
VISは、TSMCのGaN技術ライセンスを活用し、既存プラットフォームとシームレスに統合されるパワーGaN技術プラットフォームを開発する。同技術はプロセス安定性と高歩留まりを確保するためVISの成熟した8インチ製造ラインで検証し、開発活動は2026年初頭に開始し、2028年上半期に生産開始する予定だという。
TSMCは、2027年7月までにGaNファウンドリー事業から撤退すると決定していて、2025年11月にはGlobalFoundries(GF)も、650Vおよび80VのGaN技術ライセンス供与契約の締結を発表していた。GFは米国バーモント州バーリントンの製造施設において量産を進めていく方針で、開発は2026年初頭に開始し、同年後半には生産を開始する予定だ。
TSMCのGaNファウンドリー事業撤退決定を受け、2025年7月にはNavitas SemiconductorがPSMCへの移行計画を発表するなど、TSMCに製造を委託していた各社が体制の再構築を進めている。日本ではロームが650V耐圧品の製造をTSMCに委託していて、2025年11月の決算説明会では、VISとの協議に加え、社内移管や協業など複数の選択肢を検討していることを明かしていた。
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