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» 2011年09月12日 07時00分 公開

ファブライトでも生きる“ASIC 屋”の技術力富士通セミコンダクター取締役 執行役員副社長 八木春良氏(2/2 ページ)

[前川慎光,EE Times Japan]
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既存の自社工場をどう活用するか!?

EETJ 既存の自社工場を使った生産も続けていくわけですが、決して最先端ではない自社工場を使い、どのように差異化を図っていくのか教えてください。

八木氏 既存の自社工場では、微細化とは異なる視点の付加価値を持った製造プロセスや設計手法の開発を進めます。これまでは、微細化を進めるための研究開発にコストを掛けてきましたが、その分を新たな付加価値を生み出すことに振り分けました。付加価値を生み出すことで、8インチと12インチのウエハーに対応した自社工場を長く、継続的に活用していきます。

EETJ その付加価値とは、どのようなものですか。

八木氏 まず、マイコンやアナログICの差異化を可能にするプロセス技術が挙げられます。当社は、汎用マイコンのプロセッサコアとして、ARMのものを採用することを決めました。このことは、プロセッサコアそのものでは、差異化を果たせないということを意味しています。従って、どこで勝負するのかと考えたとき、製品ラインアップを豊富にそろえるのはもちろんのこと、独自の周辺回路が重要になってきます。

 例えば、もう少し耐圧の高い周辺回路をマイコンに組み込みたいと考えています。モーター制御の用途だと、高い耐圧が要求される外付け部品を集積したいという要求が昔からあります。今のところ、80V程度の中耐圧の回路をCMOS回路と混載するための技術的なメドがついてきました。

 そして、不揮発メモリについても、自社で設計と製造を続けていきます。長く事業を展開してきたFRAM(強誘電体メモリ)の需要が、ようやく立ちあがってきました。FRAMは、大容量化が難しいので、どのようなアプリケーションにも使えるというわけではありません。しかし、書き込み速度が高速で低コストという、他の不揮発メモリには無い特徴があります。また、耐タンパ性を確保できることや、放射線耐性を備えていることも特徴です。有望な市場が存在することは明らかですので、特徴を生かせる市場の開拓を進めます。

 不揮発メモリが不揮発であるゆえんは、書き換え回数の多いことやデータの保持期間が長いことです。この点にはこだわって、FRAMの長所としてアピールしながら、自社工場で製造を続けたいと考えています。もちろん、FRAMの後継となる次世代不揮発メモリについても、動向をウォッチしています。さまざまな種類の次世代不揮発メモリがありますので、技術動向を踏まえながら検討を進めます。

 この他、自社の65nmプロセスや55nmプロセスに、SuVoltaの低消費電力技術を適用したSoCの開発を進めています。まず、画像系アプリケーションに対してどのように利用できるかを検討しています。2012年には商品化する予定です。

EETJ GaNデバイスを手掛けるパワーデバイス事業部を立ち上げました。今後の展開を教えてください。

八木氏 富士通の研究所がGaNデバイスの研究を進めていたこともあり、商品化に取り組むことにしました。予想していたことですが、そう簡単に商品化できるものではありません。解決すべき課題は多くありますが、着実に進歩しています。できる限り早期に、当社の独自性を持たせた商品を市場投入したいと考えています。

 パワー半導体分野に新規参入することになりますので、どのように競合と差異化するかが重要です。デバイスの単品売りだけではなく、モジュール化することも含めて、いろいろと検討しているところです。

 モジュール化するとしても、まずはデバイス単体の性能とコストを追求する必要があります。また、GaNの良さとは何なのかを徹底的に追求しなければ、Siデバイスと勝負しても勝てないでしょう。Siデバイスの技術も日々進歩していますし、これまでの実績も豊富です。当社では、GaNの物性そのものに根ざした、Siにはない特徴を限界まで引き出したデバイスの開発に取り組んでいるところです。


八木 春良(やぎ はるよし)氏

1982年4月に富士通に入社した。2005年6月に電子デバイス事業本部副本部長、2006年6月に経営執行役、2009年6月に富士通マイクロエレクトロニクス 取締役 執行役員常務に就任した。現在、富士通セミコンダクター(2010年に社名変更)の取締役 執行役員副社長を務めている。

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