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自動車の機能安全規格「ISO 26262」、車載用MEMSセンサー市場への影響は?ビジネスニュース 業界動向

先週スイスのチューリッヒで開催された「MEMS Executive Congress Europe」で実施され車載向けMEMSに関するパネルディスカッションでは、パネリストらは「自動車に環境保護や安全に関するさまざまな法規制が課せられることで、車載用MEMESセンサーの需要は増加していく」という見解で一致した。

» 2012年03月26日 14時47分 公開
[Peter Clarke,EE Times]

 自動車市場では現在、自動駐車から自律走行車に至るまで、センサーを活用した機能の高度化が進むと期待されている。そうした中、2012年3月20日にスイスのチューリッヒで開催された「MEMS Executive Congress Europe」では、車載向けMEMSに関するパネルディスカッションが実施され、登壇者らは、「自動車に課せられる環境保護や安全に関する法規制が増えることで、車載用MEMSセンサーの需要が将来にわたって増加していく」という認識で合意した。

パネルディスカッションの様子 パネルディスカッションの様子 向かって左から順番に、ContinentalのBernhard Schmid氏、Freescale SemiconductorのMarc Osajda氏、VTI TechnologiesのHannu Laatikainen氏、IHS-iSuppliのRichard Dixon氏である。

 このパネルディスカッションではさらに、自動車の機能安全規格である「ISO 26262」(参考記事)がMEMS市場に与える影響についても議論が及んだ。同規格は、2005年の策定開始から約6年かかって、2011年11月に正式に発行されたばかりである。第1階層(ティア1)の車載部品ベンダーであるドイツのContinentalは、「ISO 26262が発行されたことで、MEMSメーカーは自動車のサプライチェーンに部品を販売し続けるために、これまで以上に複雑な設計手順を踏まなければならなくなる」と指摘した。

 ISO 26262は、主に半導体やソフトウェアに適用される規格であるが、セーフティクリティカルシステムの多くにMEMSセンサーが搭載されることから、MEMS部品との関連も深くなっている。

 車載用MEMSセンサー市場の全体的な展望を示したのは、市場調査会社である米国のIHS iSuppliでアナリストを務めるRichard Dixon氏だ。同氏は、「自動車市場は2008〜2009年の低迷から回復した。車載用MEMSセンサー市場は2010年に前年比28%増の伸びを記録したが、2011年も15%増の成長を続け、22億米ドル規模に成長した。同市場は、2010〜2015年にかけて10%の年平均成長率(CAGR)で急成長すると予想され、2015年には30億米ドル規模に達する見通しだ」と説明した。

 自動車におけるMEMSセンサーの用途としては、パワートレインの圧力センサーやタイヤ圧監視システム、エアバッグ安全システムの加速度計、横滑り防止(ESC:Electronic Stability Control)システムのジャイロスコープなどがある。Dixon氏は、「当社(IHS iSuppli)の調査では、自動車には36個のMEMS部品が使われるが、それは(安全性にかかわる)法規制を導入する地域が増えており、それによって各種センサーの搭載が促されているという事情がありそうだ。例えば、日本では2012年にESCの搭載義務化が始まるが、これによってMEMSセンサーの需要が加速すると予想される。また、中国では今後3年間のうちに、タイヤ圧監視システム(TPMS)の義務化が実施される見込みだ」と述べた。

 同氏はまた、「世界中で購入される自動車の台数は、2012年には7000万台に上る見通しで、さらに、2015年には1億台に達すると予想される。成長率でこれを上回ると予想されるのは、自動車メーカーがCO2排出量をモニタリングして削減する手助けになるセンサーだ」と語った。

訂正あり 記事初出時、本文の第1段落、第2段落、第5段落に、英語の原文の趣旨と異なる記述がありました。原文を誤って解釈したことが原因です。お詫びして訂正いたします。なお本記事は、すでに訂正済みです。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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