筆者の同僚の記者は、「IntelがCisco Systemsにハイエンドルータ用チップを提供する」といううわさを聞いたという。また、Turley氏は、「IntelがAppleのモバイル向けアプリケーションプロセッサ『Aシリーズ』の製造を受注する可能性がある」という話を耳にした。
どちらのうわさも、あり得ない話ではない。CiscoとAppleのチップは自社製品への使用に限られているため、両社がIntelの競合になる可能性はない。それどころか、ファウンドリ契約を結べれば、両社はIntelが現在抱えている顧客企業よりも格段に大きな顧客になる。
こうした移行を進めるには、Intelは「あるべき姿」を再検討する必要がある。そう考えると、同社の現CEOであるPaul Otellini氏の突然の退任発表が予想より早かったことや、2013年5月まで後継者を指名しないことは興味深い。
Turley氏は、「Intelの取締役会は、戦略についての意見がOtellini氏と食い違ったために、同氏を解雇したのかもしれない」と推測している。しかし筆者は、事実はTurley氏の見解とは異なるのではないかと考えている。Otellini氏の退任発表は、IntelのCEOの椅子が空いていることを世界に知らせ、予想外の候補者が現れるように仕向けることが目的ではないだろうか。
筆者は、Intelが同社のアイデンティティを再構築するためには、外部からCEOを起用する必要があると考えている。だが、これは非常に難しく、危険をはらんだやり方だ。“Intelという企業に対するイメージ”を社内外で大きく変えなくてはいけないだろうし、創造力を必要とする作業である。
筆者は、IntelにはLouis Gerstner氏のような人物が必要だと考えている。米国のタバコメーカーであるR.J. ReynoldsのCEOだったGerstner氏は、IBMにCEOとして引き抜かれ、経営難に陥ったIBMを現在のようなコンピュータ大手に再生した。
Intelの未来とはどのようなものだろうか? それは、歴史的な規模のビジネスチャレンジを追い求める、才能と向上心を備えた人物に問うべき質問だ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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