スマートエネルギー分野を対象にしたZigBee Smart Energy Profile(SEP) 2.0が最終試験の段階に達している。ZigBee Allianceは、特に中国市場やスマートメーター市場に狙いを定め、ZigBeeの普及加速に取り組む。
ZigBee Allianceは、同団体の新しいチェアマン兼チーフエグゼクティブとしてTobin Richardson氏を任命した。これまで名誉会長兼チーフテクノロジストを務めていたBob Heile氏の後任となる。Heile氏は、米国EE Timesのインタビューに応じ、「ZigBee Allianceは、新たな後継者を得ることにより、今後、スマートメーター市場や中国市場において勢力を拡大すべく体勢を整えていく」と述べている。
同団体が今回、新体制を発足させたのは、「Smart Energy Profile(SEP)2.0」規格が最終試験の段階に到達し、同規格に対応した製品が2013年夏にも登場する見込みであるためだ。SEP 2.0は、スマートメーターに向けたIPベースの規格であり、Wi-Fi AllianceやHomePlug Powerline Allianceなど、複数のパートナー団体とともに開発を進めてきたものである。
Heile氏は、「ZigBeeは、ホームオートメーションや無線センサーネットワークなど、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)市場において勢力を拡大しつつある」と述べる。米国の市場調査会社であるABI Researchの予測によると、ZigBee対応機器の出荷台数は、2016年までに3億5000万台を上回る見込みだという(関連記事:ZigBeeのキラーアプリケーションがようやく登場、IoTの普及加速で)。
またHeile氏は中国に対し、「独自のプロトコルを推進するよりも、ZigBeeの普及に取り組んでほしい」との希望を述べている。「ZigBee Allianceは2013年中に、ZigBeeの実証実験を行う施設を、中国国内に1カ所またはそれ以上設立する予定だ」(Heile氏)。
同氏は、「2013年の目標は、ZigBee対応製品を、主要な無線ネットワークソリューションとして中国に受け入れてもらうことだ。中国には、非常に活動的な専門の利益団体が存在する他、政府機関などによるさまざまなサポートも期待できる。今後は、ZigBeeが中国にもたらす新たな影響について、注視していきたい」と語っている。
技術面に関しては、「IoTが今後、低消費電力化や低コスト化などの要件に対応していく上で、ZigBeeのように既に確立されている技術を必要とするのか」という点について、活発な議論が続いている。IP for Smart Objects(IPSO) Allianceは、ZigBeeに代わり得る技術として、IP(Internet Protocol)ネットワークを提言している。
Heile氏は、「IETF(Internet Engineering Task Force)*1)は、さまざまな課題への対応に取り組んでいるが、まだ問題の解決には至っていない。しかし、エンドデバイスでのIP採用については、オーバーヘッドが大きい上に、さまざまな機能を搭載できないことから、問題外だとする見方が大半だ」と述べている。一方、IPSOの支持者は、「妥当なコストと消費電力を実現したIPベースのハードウェア/ソフトウェアが既に開発されており、IoT市場向けにデモが行われている」と主張している。
*1)IETF:インターネットで利用される技術の標準化を行う組織。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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