IEEEで400Gビットイーサネット(400GbE)スタディグループの議長代理なども務めるDellのJohn D'Ambrosia氏。「今取り組むべきことは400GbEの仕様を策定することである。それを適切なコストで実現するために、開発プロジェクトの目的を明確にすることが重要」と話す。
デルは2013年4月9日、イーサネットの最新動向などについて、東京都内で説明会を開催した。この中でDellのチーフ・イーサネット・エバンジェリストであり、Ethernet Allianceの会長も務めるJohn D'Ambrosia氏は、400Gビットイーサネット(400GbE)の標準化動向などについて語った。同氏は個人的な意見であると前置きし、「いずれはテラビットの時代も来るだろうが、今取り組むべきことは400GbEの仕様を策定することだ。それを適切なコストで実現するために、開発プロジェクトの目的を明確にすることが重要である」と話す。
D'Ambrosia氏は、40G/100Gビットイーサネット(40GbE/100GbE)タスクフォースで議長を務めた。現在は、3週間前に承認された「IEEE 802.3 400GbEスタディグループ」の議長代理なども務める。
400GbEが使われる領域としては、データセンター内のインターコネクトなどを当面のターゲットとしている。データセンターでは接続されるストレージ装置やサーバーの台数が増え、ネットワークの伝送速度がボトルネックとなっているケースも増えてきたからだ。伝送路は用途に応じて、シングルモードファイバやマルチモードファイバ、銅線などを用いる仕様が検討されている。
イーサネットの伝送速度は10Gビット/秒、40Gビット/秒、100Gビット/秒と移行してきた。400GbEのスタディグループを立ち上げたのも、この延長線に400Gビット/秒があるという認識からだ。D'Ambrosia氏は、「40GbE/100GbE/400GbEと複数の伝送速度に対応できるマルチレートのサポートがこれからは重要となる」と指摘する。さらに、「規格はIEEEが勝手に決めるものではない。参加者がIEEEで決定するものであり、関係者のコンセンサスが必要だ」と述べた。
D'Ambrosia氏は、イーサネットのバンド幅についても触れた。「これからのイーサネットでボトルネックとなるのがバンド幅である。2006年にはバンド幅に対する予測を見誤り、市場を拡大させるのに苦労したこともあった。今回はバンド幅がどのように進化していけば良いかを事前にヒアリングし、状況を把握したい」と話す。
IEEEでは、イーサネット関連で400GbE以外でもさまざまなグループが規格策定に向けて活動している。例えばEPONなどイーサネットへのアクセス方法に関する規格化に取り組んでいるチームがある。さらに、ツイストペアケーブルに関連する取り組みもある。その1つが車内ネットワーク用として標準化に取り組んでいる「RTPGE PHYタスクフォース」である。車内ネットワークに向けたイーサネットの展開は、D'Ambrosia氏が期待しているアプリケーションの1つだ。
電源供給の方法に関する標準化の取り組みも活発である。2013年3月に承認された4ペアPoE(Power over Ethernet)や、自動車用イーサネットで電源を供給するための「PoDL(Power over Data Link)」などの規格化が進められている。
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