KDDI研究所は、次世代の通信規格であるLTE-Advanced向けのマルチユーザーMIMO技術を発展させた新しい通信技術を発表した。周波数利用効率は1Hz当たり最大20ビット/秒と、LTEの約3倍を実現しているという。
KDDI研究所は、「ワイヤレスジャパン2013」(2013年5月29〜31日、東京ビッグサイト)において、LTE-Advanced向けのマルチユーザーMIMO技術を発展させた、新しい通信技術「Advanced MIMO」のデモンストレーションを行った。
マルチユーザーMIMOは、基地局から、同一時刻から同一の周波数チャネルで複数の端末にデータを送信する。データを各端末に正しく送り届けるために、基地局は、各端末から、電波環境(受信状況)の情報(フィードバック情報)を収集する。ただし、このフィードバック情報だけで上り回線のトラフィックを浪費してしまう可能性があるため、KDDI研究所はフィードバック情報を圧縮する技術を開発した。マルチユーザーMIMO技術に、この圧縮技術を加えたものを、KDDI研究所はAdvanced MIMOと呼んでいる。
KDDI研究所は、「フィードバック情報を圧縮することで、基地局は各端末の電波環境を効率よく把握でき、それによって周波数の利用効率も向上する」と説明する。
デモでは、基地局と端末に見立てた装置を有線で接続し、2×2 MIMO通信を行っていた。周波数利用効率は1Hz当たり20.7ビット/秒を達成していた。LTEは同7.5ビット/秒なので、約3倍の周波数利用効率を実現したことになる。
今後は、無線環境でAdvanced MIMOの実証実験を進めるとともに、3GPP(3rd Generation Partnership Project)にも同技術の標準化を提案していく予定だ。
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