日立マクセルは、充電しながら双方向のデータ通信が行えるワイヤレス給電方式のデモンストレーションを行った。同方式は、日立マクセルが独自に開発しているもので、「給電する電力にデータ信号を乗せて通信するイメージ」(同社)だという。これまでも、受電側から送電側にデータを送信できるものはあったが、「送電側から受電側にも送信できるという、双方向のデータ通信は実現できていなかった」(日立マクセル)という。
デモでは、直径8.5mmのコイン型リチウムイオン電池にコイルと通信用回路を実装したモジュールに、給電していた。データ通信速度は2kビット/秒。ワイヤレス給電には電磁誘導方式を採用している。同社は、「双方向のデータ通信を実現することで、電力制御や充電管理、システム間の情報伝達が可能になる」と述べている。
日立マクセルは、今回のデモで展示したモジュールを、2014年後半から2015年をめどに製品化したいとしている。加えて、1パッケージ化したものも開発中だ。「まずは、補聴器など水分に弱い小型医療機器の用途をターゲットとする。最終的には、ペースメーカーなど、体内に埋め込まれる医療機器への採用を目指している」(同社)。
TDKは、スマホなどモバイル機器に搭載する無線給電用レシーバコイルとして、WPC Qi規格(対応電流0.7A)に対応しながら、薄さ0.48mmを実現した製品を展示した。「0.48mmはおそらく世界最薄だろう」(説明員)とする。TDKでは、コイルの薄型化技術をベースに「WPC以外の各規格対応コイルを製造することも可能で、各種カスタム品の提供も積極的に行いたい」とし、レシーバ、トランスミッタ問わずさまざまな無線給電用コイルを展開していく方針だ。
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