ビシェイ・インターテクノロジーは、日本市場で自動車、産業機器、通信機器の3分野に重点を置き、FET、ダイオードといったディスクリート半導体とパワーインダクタ、電流検出抵抗器など独自性の強い受動部品の拡販を展開する。
ビシェイ・インターテクノロジー(Vishay Intertechnology/以下、ビシェイ)は、米国に本社を置く、ディスクリート半導体/受動部品メーカーだ。常に事業買収を繰り返し、幅広い事業領域、製品ラインアップを持つ。日本法人ビシェイ・ジャパンの社長を務める小澤政治氏は、「今後も事業買収は継続するが、一定の事業体制が整ったため、既存事業の強化を第一にビジネス展開していく」とビシェイグループとしての方針を語る。
ディスクリート半導体/受動部品市場は、コモディティ製品も多く価格競争の激しい市場でもあるが、「価格よりも性能を追い求めた製品での事業規模拡大を狙っている」とし、民生/モバイル機器向けの小型製品よりも、自動車、産業機器、新エネルギー、通信インフラなどに向けた比較的大電力を扱う用途向けの製品展開を強化。そのため、地元米国よりも、産業機器や自動車のメーカーが多く集まる欧州での売上比率が高くなっている。
「日本は、ディスクリート半導体、受動部品ともに多くの競合が存在するため、海外以上にニッチな市場に対し、強い独自性を発揮できる製品に絞って拡販を展開する」と日本独自の事業戦略を採用。パワーMOSFET、ダイオード、パワーインダクタ、電流検出用(シャント)抵抗器、薄膜抵抗器などが日本での拡販製品に位置付けている。
パワーMOSFETであれば、特に耐圧の高い600〜650Vの工業用途向け製品に重点を置く。スーパージャンクション構造を用い、低オン抵抗を実現する製品群で、「600〜650V耐圧、出力40Aで変換効率88%など重負荷時の効率の高さに特徴があり、工業機器だけでなく今後は自動車分野でも採用が見込まれる製品」という。
ダイオードでは、独自の小型パッケージング技術を駆使した大電流対応の表面実装パッケージ品が好調だ。定格電流1〜1.5Aクラスであれば、2.3×1.4×0.73mmという超小型サイズのmicroSMA、D2PAKパッケージが多い5〜10Aクラスでも4.8×6.7×1.1mmサイズのSMPCパッケージを展開。「AC-DCアダプターの他、薄型要求の強い各種ディスプレイ用途での引き合いも強い」という。
半導体以上にニッチ市場を狙うのが受動部品。自動車向けパワーインダクタとしてこのほど、定格電流9.7〜180A、インダクタンス範囲0.22〜100μHという「IHLP-8787」(22.0×22.9×13.00mmサイズ)を発売した。「表面実装メタルコンポジットインダクタでは最大の定格電流を実現した」とし、自動車のDC-DCコンバータ部への拡販を図る。
大電流シャント抵抗器も充実し、バッテリマネジメント、電力メーター用とで採用を狙う。最大1000Aの電流値まで対応し、「ほぼ導体」と言えるような0.02〜1.0mΩという超低抵抗を±5%精度で実現する製品群をそろえる。「カスタマイズ要求に応えられる生産体制もあり、今後、日本でも需要拡大が見込める製品の1つ」として期待を寄せている。
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